機械学習のようなAI(人工知能)技術を取り入れるなら、企業はまずハードウェアを評価する必要がある。評価する際のポイントが、プロセッサにCPUとGPU(画像処理プロセッサ)のどちらを選択するのかという点だ。プロセッサの選択は、企業のAI戦略に長期的に影響するので重要な意味を持つ。そしてその選択肢は多岐にわたる。
CPUは基本的なコンピューティングの大半を担う。GPUやGoogleが自社開発したチップ「Tensor Processing Unit」(TPU)のようなAI分野で勢力を増すプロセッサが登場する前は、負荷の高い処理を含め、ほとんどの処理をCPUが担っていた。
AI分野に最適なハードウェア選びで特に重要な要素となるのは、処理速度だ。機械学習モデルのトレーニングに関する処理の場合、CPUはGPUよりも長い時間がかかる可能性がある。CPUはGPUよりもコア数が少なく、GPUと同等の並列処理を担うことが難しいからだ。
パフォーマンスを高めるために、CPUベンダーや開発者はプロセッサコアを複数にするマルチコアCPUや、処理高速化を支援するハードウェアであるアクセラレーターの階層化といった工夫を施している。特定のアプリケーションを優先して処理さに優先的にリソースを割り当てることで、コンピューティングの処理速度やCPUがメモリからデータを読み込む速度を高めることが可能になる。それでも一般的には、CPUがGPUの処理能力を上回ることはできない。
「CPU1基の処理能力だけでは、高度な機械学習のタスクをこなすことは難しい。一方でCPUをベースにすることが優れた戦略になる可能性がある」。こう指摘するのはIntelでAI関連のビジネスを率いるガディ・シンガー氏だ。「簡単な機械学習を実行したいのであれば、あるいは機械学習と汎用(はんよう)的なコンピューティング処理をどちらも実行したいのであれば、CPUベースが最適だ」(シンガー氏)。さまざまな目的でプロセッサを機能させるのであれば、ソフトウェアによって特定のタスク用の処理能力を増強できるCPUの方が適しているという。
ただしアクセラレーターをマルチコアCPUで使用するコンピューティングの仕組みが、AI技術向けの処理に最適とは限らない。企業が多層のニューラルネットワークを用いた高度な深層学習の実行を考えていたり、プロセッサを汎用的なコンピューティング処理ではなく、AI技術に特化した用途で利用したいと考えていたりするのであれば、GPUの方が適しているだろう。
営業デジタル化の始め方(無料eBook)
「ITmedia マーケティング」では、気になるマーケティングトレンドをeBookにまとめて不定...
「RED」「Bilibili」「Douyin」他 中国の主要SNSプラットフォームの特徴まとめ
トレンド変化の大きい中国においてマーケティングを成功させるためには、主要SNSプラット...
コロナ禍における「ご自愛消費」の現状――スナックミー調査
「ご自愛消費」として最も多いのは「スイーツやおやつ」で全体の68%。その他、ランチ38...