AIシステムの処理に必要な性能を実現するために、HPC分野の進化は続いてきた。だが技術進化にも限界がある。「ムーアの法則」が廃れつつあることが意味するものとは。
前編「量子コンピュータの商用化で脚光 IBM、HPEが『HPC』に本気の理由」では、スーパーコンピュータや量子コンピュータなどの高性能コンピュータ(HPC)市場における、HPEやIBMといった主要サーバベンダーの製品開発動向を紹介した。後編はHPCの要素技術を提供するベンダーの注目すべき動向や、コンピューティング処理の性能向上の進化を解説する。
HPC分野において注目される動きの一つとして、NVIDIAによるMellanox Technologiesの買収がある。買収額が69億ドルに及ぶ大型の案件だ。この買収によってNVIDIAは、競争が激化するAI(人工知能)システムに適した、ハードウェア分野における立ち位置の強化を目指す。
NVIDIAの狙いは、攻めと守りの双方にある。NVIDIAが持つGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)技術は、Amazon Web Services(AWS)が開発した機械学習用のプロセッサ「AWS Inferentia」との競争が激化している。Inferentiaの他にも、Crayが開発した、HPCにおけるAI技術の利用を実現するインターコネクト技術「Slingshot」との競争もある。インターコネクト分野で強みを持つMellanoxの事業を加えることで、NVIDIAは既存事業の競争力を強化し、AWSやCrayのような競合企業、新たにHPC市場に参入する新興企業に対抗する。
NVIDIAとMellanoxの2社は、互いに知らない相手ではない。世界最速クラスの性能を誇る米エネルギー省(DOE)のスーパーコンピュータ「Sierra」には、両社の技術が使われている。Sierraは、NVIDIAのGPU、Mellanoxのインターコネクト技術「InfiniBand」、IBMのCPU「POWER9」などを搭載している。NVIDIAとMellanoxは、世界のスーパーコンピュータの性能ランキング「TOP500」(2019年6月版)で首位に立ったDOEのスーパーコンピュータ「Summit」の中核となる技術も提供している。
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