スーパーコンピュータの性能を巡る競争は、事実上、米国と猛烈に追い上げる中国の争いになっている。そうした中、「京」の後継機はプロセッサにArmベースのCPUを採用する。
前編「Intel、AMDではなく『Arm』がスパコン用プロセッサで勢力を伸ばす理由」では、スーパーコンピュータ(スパコン)向けのプロセッサとして、ArmアーキテクチャベースのCPUが勢力を伸ばす可能性について触れた。後編では、ArmベースのCPUがスパコンで採用される可能性を探るとともに、世界のスパコン分野における勢力争いを追う。
ArmベースのCPUが、スパコン性能ランキング「TOP500」にランクインするスパコンに搭載されるのは容易ではない。2019年6月のTOP500のランキングに173台のスパコンをランクインさせたLenovoは最近、ArmベースのCPU「ThunderX」を搭載したサーバをリリースした。だがLenovoのスコット・ティーズ氏は「顧客からはテスト以外の用途での需要がほとんどない」と語る。
ArmのCPUを搭載したスパコンへの関心は、まだそれほど大きくない。だが1つの注目すべきスパコンが日本から登場しようとしている。
富士通はかつて世界最高性能のスパコンだった「京」の後継として、ArmベースのCPUを採用したスパコン「富岳」を開発している。富岳は、2021年ごろに運用が開始される見通しだ。富士通はこれに当たり、Armのコミュニティーに参加することで、オープンソースソフトウェアの活用を進めると表明している。
TOP500のランキングは、ランクインしたスパコンの処理能力を合算した国別のパフォーマンスシェアも示している。
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