自社に適したハードウェアはどれか
サーバハードウェア比較 ラック、ブレード、メインフレーム、HCIの違いは?
本稿では、ラック、ブレード、メインフレーム、HCIといった各タイプのサーバの構造と、その長所と短所を解説する。どの種類のサーバが自社のデータセンターに適しているか、考えるヒントにしてほしい。
サーバは、アプリケーションのホスト、ファイルの管理、メールの処理、メディアのストリーミング、分析などの機能がある。企業はサーバがもたらす処理能力と用途の幅広さから恩恵を得られる。しかしサーバにどのようなハードウェアを使うべきかを判断するのは難しい。
現在のサーバは、主に標準サイズのコンピュータであるラック、薄型のコンポーネントを組み合わせて使用するブレード、大型のメインフレームの3形態で提供される。大半のIT部門は、ラックサーバかブレードサーバを利用して自社のサーバ要件を満たしている。メインフレームでワークロードを処理するIT部門も存在するが、その数はラックサーバやブレードサーバには到底及ばない。
ラック、ブレード、メインフレームの各サーバにはそれぞれ長所と短所がある。サーバの購入を検討している企業は、購入する製品を決める前に、こうしたさまざまな種類のサーバハードウェアを慎重に検討する必要がある。ただし、どれか1種類に絞る必要はない。企業は予算と設置面積の制約に目を向けながら、自社がサポートするワークロードに適したサーバを選ぶことができる。
基本的なサーバの構造
サーバとは、さまざまなワークロードに処理能力とメモリリソースを提供するコンピュータの種類を表す。
「サーバ」という言葉は、コンピュータ自体を指すこともあれば、メール管理システムなどのサービスを提供するプログラムを指すこともある。ハードウェアに関連して使われる場合は、物理コンピュータを指すことが多い。サーバのOSは、大規模ワークロードを処理し、サービスを提供して、ネットワークベースの運用をサポートするよう設計されている。主なサーバOSには、Linux、UNIX、Microsoftの「Windows Server」がある。
サーバはたいていの場合、特定のサービスを提供するよう設定される。一般的には、ネットワークリソースを管理し、クライアントデバイスがそのリソースを利用できるようにするために使用される。サーバは、その用途を示す名前で呼ばれることが多い。例えば、プリントサーバはネットワークユーザーが共有プリンタにアクセスできるようにし、メディアサーバはネットワークユーザーへの動画や音声コンテンツのストリーミングを可能にする。
サーバの物理構成は、各サーバが提供するサービスによって異なる。例えばデータベースサーバの場合、複数のトランザクションが同時実行できるように、高い処理能力とメモリリソースを備えることが多い。多くのデータセンターではサーバ仮想化も実装し、サービスの提供効率を高めている。サーバを仮想化することで、サーバの物理リソースの使用効率を向上させると同時に、セキュリティや柔軟性を高め、消費電力を削減できる。
なぜサーバを導入すべきなのか
ほとんどの企業には、業務を遂行し、機密情報を保護するため、サーバが不可欠だ。新しいデータセンターの設置、既存データセンターの拡張や更新、サテライトオフィスの開設、開発プロジェクトの稼働のためにサーバの購入が必要になることもある。
サーバによって企業が運用しなければならないコンピュータの台数は増える。しかしサーバはリソースの統合に役立つ。さまざまな種類のサーバハードウェアによって、プリンタ、ディスクドライブ、アプリケーションをネットワークのユーザーと共有できるようになる。リソースの共有は、ピアツーピアネットワークを利用すればサーバを使わなくてもできる。しかしユーザー数が多い場合、リソースを管理してネットワーク間でユーザーに安全に提供するには、サーバの方が適している。
リソースが一元化され、同僚とのデータの共有が容易になるため、サーバの使用は生産性の大幅な向上につながる。ユーザーはリソース管理を懸念することなく、必要に応じて必要なリソースにアクセスが可能だ。自身の使うシステムにデータのコピーを保持することも、バックアップを管理することも、同じデータのコピーを複数管理することも必要ない。
出張中や在宅勤務の従業員の生産性を向上させる効果もある。サーバによって必要なアプリケーションやデータに、遠隔地からのアクセスが可能になるからだ。
サーバはデータ保護を通じてビジネスの価値も高める。管理者は、ファイル、アプリケーション、周辺機器など、ユーザーがアクセスするリソースを制御するのに必要な設備を利用できる。管理者はサーバに導入するセキュリティメカニズムを制御できるだけでなく、システムを一元的に監視して、セキュリティとコンプライアンスに関連する問題を解決することも可能になる。
異なる種類のサーバハードウェアを用意することで、システムデータやユーザーデータのバックアップが簡単になり、災害復旧戦略(DR)の導入が容易になる。管理者は、サーバをクラスタ化したり、システムコンポーネントに冗長性を持たせたりすることで、データの信頼性と可用性を簡単に向上できる。こうした統合モデルにより、ワークステーションの管理、ドメインの制御、ソフトウェアの監視などの管理操作の一元化も可能になる。
サーバはリソースを統合し、管理効率を高め、生産性を向上させる。そのため、最終的にはコスト削減が可能になる。一元管理の機能でアプリケーションの用途の追跡が容易になるため、ライセンス費用を適切に管理して、高額なソフトウェアがないか確認することもできる。
サーバはデータの保護に優れているため、脅威の影響を受けにくい。そのため情報漏えいなどによる事業の損失などを避けるのにも役立つ。
4種類のハードウェアの違いとは
ラックサーバ
ラックサーバは、ラックマウント型サーバとも呼ばれる標準サイズのコンピュータだ。ラックサーバは、ネットワークデバイス、ストレージエリアネットワークデバイスなど、他の標準サイズコンポーネントや他のラックサーバと一緒にサーバラックに収容できるように設計されている。ラックサーバは、さまざまなワークロードを運用できる汎用コンピュータと考えられる。
ラックサーバは、大型のキャビネットに収容されるのではなく、他のコンポーネントと一緒に1つのラックに収容されるため、タワー型のサーバに比べて専有面積が大幅に小さくなる。またプロバイダーはラックサーバのサイズやラックのサイズを標準化しているため、管理者はサーバの追加や故障したサーバの交換を簡単に行える。コンポーネントを段階的に追加するのが容易な設計になっているため、ワークロードの増加にも対応できる。中でも優れているのは、同じラック内に、モデルやベンダーが異なるサーバを収容できる点だ。
ラックサーバの大きな課題の1つが、全てのコンポーネントをつなぐケーブルの管理だ。電源、ネットワーク、管理、ストレージにケーブルが必要になる。積み重ねられたコンポーネントの背面にぶら下がったケーブルは、ケーブルそのものやサーバの管理を難しくする。ケーブルは冷却にも影響することがある。ラックサーバではコンポーネント同士が近接するため、冷却も課題になる。
ブレードサーバ
ブレードサーバはモジュール型のコンポーネント(ブレード)で、他のブレードと一緒にサーバ筐体(きょうたい)に収容される。各ブレードには、それぞれプロセッサ、メモリ、統合型のネットワークコントローラーが搭載される。ファイバーチャネルホストバスアダプターを始めとした入出力端子が登載されることもある。ブレードサーバはケーブル構造がシンプルで、ラックサーバに比べて狭い面積で多くの処理能力を提供する。
ブレードが筐体内で密に構成されることから、筐体自体をブレードサーバと呼ぶこともある。その場合個別のブレードは、それ自体がサーバであっても、モジュール型マザーボードや回路基盤とも呼ばれる。筐体は、電源、冷却、ネットワークなどのリソースを統一した形で提供し、筐体内の全てのブレードがこれを共有する。管理者は、この筐体を標準サイズのサーバラックに収容することも可能だ。
ラックサーバと比べた場合のブレードサーバが持つ大きなメリットの1つは、より狭い面積で高い処理能力を持っていることだ。そのためブレードサーバ自体がラックサーバより高額になっても、コストパフォーマンスは高くなる可能性がある。占有面積を効率的に利用することで冗長性が高まり、アプリケーションやデータの信頼性と可用性の確保が容易になる。
さらにブレード本体の他、冷却システム、コントローラー、スイッチなどの筐体コンポーネントもホットスワップが可能だ。筐体の構造上、ラックサーバに比べてケーブルの配線もシンプルになる。ブレードサーバのシステムでは、コンポーネントを制御/監視する一元化された管理コンソールも利用できる。
ブレードサーバは最先端のコンピューティング機能を提供するが、短所も幾つかある。例えばサーバ筐体とブレードアーキテクチャが、ベンダー固有の仕様になる。そのためベンダーロックインが生じる可能性が高い。ベンダーが新しいコンポーネントや更新したコンポーネントをタイミング良くリリースしなければ、アップグレードの選択肢が制限される恐れもある。
ブレードサーバはラックサーバよりも高額になる。ただしブレードサーバでも適切な環境を用意すれば、小さい占有面積と、高度な処理能力や管理機能によって、ラックサーバとの差が相殺される可能性がある。
ラックサーバは導入コストが低いことから、小さく始めて徐々に規模を拡大したい企業にとってはメリットが大きい。ブレードサーバの場合、電源や冷却のニーズに対応するためにデータセンターの更新が必要になることもある。
こうした懸念はあるとしても、ブレードサーバは多くの環境、特に面積に制限がある高密度のサーバルームを有するデータセンターに適している。ブレードサーバは、1つのタスクがファイル共有、Webホスティング、動画ストリーミング、データベース管理、仮想デスクトップインフラなど、クラスタ化したサーバを必要とする場合に適している。
メインフレームサーバ
メインフレームサーバは超強力なコンピュータで、大きな冷蔵庫サイズほどの大きさがある。以前のメインフレームは1室を占拠するほどの大きさだったが、現在のメインフレームははるかにコンパクトになった。処理能力も向上して、高度な暗号化機能や複数層の冗長性もサポートする。しかしラックサーバやブレードサーバに比べると大きくかさばり、非常に高額になる。ただし市場に出回るどのサーバよりも、はるかに高い処理能力と信頼性を誇る。
メインフレームは高いスループットを実現するよう設計されている。そのためパフォーマンスに影響することなく、多数の同時実行トランザクションや高いI/O負荷をサポートする。IBMは1日当たり120億件もの暗号化トランザクションを実行できるシステムを製造し、メインフレーム市場をけん引している。
構成を細かく調整でき、ホットスワップ可能なハードウェアコンポーネントでメインフレームは構成されている。一般にメインフレームはIBMの「z/OS」など、専用OSを実行する。だが最近のメインフレームのモデルは、ベアメタルや仮想マシンで実行するLinuxも利用できるようになり、機能を大幅に強化している。
メインフレームは回復性と信頼性に優れている。高いセキュリティが確保され、最新ハードウェアテクノロジーを組み込んでいることでも定評がある。システム全体に複数層の冗長性が存在し、信頼性と可用性が常時確保される。管理者がメインフレームをクラスタ化し、さらに高い信頼性と可用性を提供することも可能だ。クラスタを地理的に分散させると、1カ所で発生した災害からサーバを保護できるため、特に効果が高くなる。
メインフレームは銀行のような金融機関のトランザクションなど、数多くのリアルタイムトランザクションを同時実行し、大容量のデータを集中的に扱うワークロードに適している。公共設備、政府機関、医療システムなどを扱う業界も、メインフレームコンピュータが備える処理能力のメリットを生かすことが可能だ。
ただしメインフレームは高額になる。試しに利用する企業や、さまざまな種類のサーバハードウェアを段階的に導入したい企業には向いていない。長期的に見ると、サポートするワークロードによっては、メインフレームのコスト効率は優れているかもしれない。だが多くの企業にとって、初期設備投資が高過ぎる可能性がある。
メインフレームの導入と運用には、熟練の技術者も必要だ。ラックサーバやブレードサーバへ関心が高まっている現在、メインフレームの技術者を見つけるのは難しい。メインフレームは習得することが多過ぎて、多くの企業にとって導入が難しいかもしれない。
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)
データセンター用サーバの購入を検討する企業は、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)も検討する価値がある。HCIとは、コンピューティング、ストレージ、ネットワークの統合されたリソースを提供する、ソフトウェア中心のシステムだ。ベンダーはHCIプラットフォームを、全てを収容したアプライアンス、ソフトウェアのみのパッケージ、参照用アーキテクチャとして提供する。
一般的にHCIプラットフォームは、複数のサーバノード、各ノードのリソースを仮想化するハイパーバイザー、サーバノード間でリソースの管理とオーケストレーションをするソフトウェア層から構成される。HCIシステムには通常、ミラーリング、レプリケーション、イレージャーコーディングなどのデータ保護機能、バックアップや冗長性などの災害復旧機能も組み込まれる。
HCIプラットフォームを構成するコンピューティングノードに、既製の標準サーバを利用することもできる。各サーバには、処理リソースやメモリリソースに加え、独自の直接接続型ストレージ(DAS)も搭載される。ほとんどのHCIアプライアンスは最低でも3ノードを含み、ワークロードの増加に合わせてノードを追加する機能も備える。
インテリジェントソフトウェアは各サーバのリソースを共有リソースプールに統合し、管理を簡素にしながらも高いレベルの柔軟性を実現する。システムを拡張するには、別のサーバノードを追加するだけでよい。ただしサーバノードはそれぞれ全く同一でなければならない。そのためコンピューティングリソースを増加するためにノードを追加する場合でも、必要になるとは限らないリソースを購入することになるかもしれない。
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