チャットbotと開発ツールの進化【前編】
普通のチャットbotと「AIチャットbot」の違いとは?
「チャットbot」は長い間、事前に準備した回答を出力するだけのプログラムだった。AI技術を組み込むことにより、用途が急速に多様化している。
人と対話するプログラム「チャットbot」に関連する技術は進化を続けている。テキストベースで会話をする最初のチャットbotは、1966年にマサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)の研究プロジェクトとして、ジョセフ・ワイゼンバウム氏が開発した「ELIZA」だと言われている。ELIZAは人と本当に会話ができるシステムの実践的かつ本格的な研究というよりも、むしろ“おもちゃ”の概念に近かった。
これまでの一般的なチャットbot
ELIZAの登場以来、人と自然言語でやりとりできるテキストや音声ベースのシステムは、広く利用されるようになってきた。ニュースサイトのBusiness Insiderによると、チャットbot市場は2019年には26億ドル規模に成長している。開発者が人工知能(AI)技術を取り入れるとともにチャットbotは進化を遂げ、使い勝手が向上し、機能も高度化している。
チャットbotは、人とテキストまたは音声で会話ができる。エンドユーザーがタイピングやスワイプ、クリックよりも、音声でのやりとりを好むときにもよく使われる。その中には車の運転中といった、物理的な入力が不可能な状況が含まれる。
ELIZA以来、多くのチャットbotが作られてきた。初歩的なチャットbotは、エンドユーザーが発した言葉の中からキーワードを検出し、用意された内容を応答する。これらのシステムは大抵の場合、あまりインテリジェントではない。インテリジェントなチャットbotは「事前に定義された文を使って答える」以上のことをするからだ。
「AI」で賢くなるチャットbot
AI技術は、こうしたチャットbotに自然言語機能を追加して、人とシステムを橋渡しする。よりインテリジェントになったチャットbotは機能の高度化に伴い、多様な場面で使われるようになっている。例えば電話応答、情報検索、Eコマース、そして人気が高まっている音声アシスタントといった具合だ。
チャットbotは展開しやすいことから、企業はチャットbotが、自社にAI技術を導入するための第一歩に適すると考えている。チャットbotは、睡眠も休憩も取らずに一貫した結果を提供できる。企業は顧客とのやりとりのために、チャットbotを24時間展開しておくことが可能だ。金融業や小売業などの企業が、顧客満足度の向上や基本的な顧客情報の収集、自社に関する一般的な質問への回答に、AI技術を組み込んだチャットbotを役立てている。
政府機関もチャットbotにメリットを見いだしている。米郵政公社は、各種業務で顧客のサポートにチャットbotを利用している。米市民権・移民局も、各種サービスや手続き、書式に関する多様な質問に職員が答えるのを手伝うチャットbot「Emma」を導入済みだ。
チャットbotは、企業や政府機関が人材をより生産的な業務に割り当てることを助け、業務効率を高めることに貢献している。これらの組織はチャットbotを利用して、問い合わせの解決に要する時間を大幅に短縮可能だ。複数のチャットbot同士を連携させて、顧客問い合わせへの返答の性能を強化することもできる。
後編は、ベンダー各社が提供するチャットbot開発ツールを取り上げる。
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