「5G」のタイプと注目機能【後編】
「5G」を生かし切る「ダイナミックシェアリング」「URLLC」「eMBB」とは?
「5G」には特有の機能がある。高速通信やIoT向けの用途を補強するためのこれらの機能は、5Gを企業の標準的な通信手段として活用できる可能性を高める。どのような機能なのか。
前編「『ローバンド5G』『ミッドバンド5G』『ハイバンド5G』の違いは 3種の5Gを比較」で紹介した通り、「5G」(第5世代移動体通信システム)は
- 低周波数帯の「ローバンド5G」
- 中周波数帯の「ミッドバンド5G」
- 高周波数帯「ハイバンド5G」
の3タイプに分類でき、それぞれ異なる特徴を持つ。例えば「ミリ波」と呼ばれる30~300GHzの周波数帯の電波を利用するハイバンド5Gは、高速なデータ伝送速度を実現できる半面、電波が遠くまで届きにくい特徴がある。
「ミリ波しか使えないとしたら問題だっただろう」とネットワークベンダーであるCradlepointのリンジー・ナットウェル氏は語る。5Gには周波数帯を「4G」(第4世代移動体通信システム)と共有する「ダイナミックスペクトルシェアリング」と呼ばれる新技術がある。
ダイナミックスペクトルシェアリングは、どのタイプの5Gでも使用可能な技術だ。同じように「URLLC」(超高信頼低遅延:Ultra-Reliable and Low Latency Communications)、「eMBB」(拡張モバイルブロードバンド:enhanced Mobile Broadband)、IoT(モノのインターネット)向けの機能などをそれぞれの5Gのタイプで利用できる。それぞれについて見ていこう。
目次
- ダイナミックスペクトルシェアリング
- URLLC(会員限定)
- IoT向けの機能(会員限定)
- eMBB(会員限定)
ダイナミックスペクトルシェアリング
ダイナミックスペクトルシェアリングにより、5Gと4Gが同じ周波数帯を共有できる。古い世代の通信サービスの終了に伴って使用されない周波数帯が増えれば、ダイナミックシェアリングをさらに有効に活用できる可能性が高まる。通信事業者が4Gと5Gの両方で使用できる周波数帯に投資する可能性があるからだ。
既に4Gを導入していて5Gへの投資を検討中の企業にダイナミックスペクトルシェアリングは役立つ。「現在検討されている5Gの用途の95%以上は4Gでも実現できる。4Gを利用しつつ、状況に応じて5Gに切り替える運用が可能だ」とノットウェル氏は話す。
URLLC
どのタイプの5GでもURLLCの機能を使用できる。この機能で実現できる高速なレスポンス(応答)は、機械や装置のオートメーション、ビデオ会議といった分野で有用だ。
URLLCを使った通信で遠隔地を接続すれば、さまざまなメリットがある。従業員がカンファレンスに出席したり、学生が就職説明会に参加したりするための費用を節約できる。5Gなら現地に行かなくても実際に対面しているのとあまり変わらない瞬時のコミュニケーションが可能だ。顔認証システムや監視カメラの機能強化も可能になる。
IoT向けの機能
5Gの3タイプのいずれでも多数同時接続ができる。これにより人の操作が介在しないIoT機器同士の通信が容易になる。5Gの技術と消費電力の低いナローバンド(狭帯域)を組み合わせて多数のIoT機器を管理するといった用途も実現する。ナローバンドを使えばIoT機器のバッテリー寿命を延ばすことができる。「センサーのバッテリーであれば寿命を最長10年にすることが可能だ」とノットウェル氏は説明する。
多様なIoT機器の接続を5Gによって1つのネットワークにまとめることもできる。多数同時接続の機能があれば多数の機器を高速かつ安定的に接続できるからだ。
eMBB
eMBBはこれまでの標準的な移動体通信システムの能力を強化する。配線が不要な移動体通信システムの性能が向上すれば、固定通信を代替することも不可能ではなく、ユーザー企業としては経費削減のメリットが得られるだろう。
移動体通信システムだけでなく無線LANと比べても、eMBBによってデータ伝送速度や信頼性が高くなる可能性がある。無線LANの替わりに5Gを使うことも可能だと指摘する声が専門家の間で出ているほどだ。
「移動体通信システムは場所と時間に自由をもたらす。このことが有線から無線への劇的な移行をもたらすだろう」とノットウェル氏は語る。例えば小売業界では店舗の開業までに配線工事を手配することが大きな負担になっていた。「移動体通信システムならいつでもどこでも利用を開始できる」(同氏)
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