レジリエンス計画が必要な理由【後編】
重要なはずの「レジリエンス」はなぜ後回しにされるのか?
障害発生時の回復力「レジリエンス」は確かに重要だ。一方で具体的な取り組みに着手できている企業は多くはない。その背景には何があるのか。取り組みのハードルを下げる手段とは。
前編「『レジリエンス』とは何か? なぜ必要か? 事業継続計画(BCP)を補完」で述べた通り、「レジリエンス」(障害発生時の回復力)と事業継続性は相互補完的な関係がある。そのためレジリエンス計画は、堅実な事業継続計画(BCP)とともに整える必要がある。従来のオンプレミスシステムによる災害復旧(DR)と、クラウドサービスを利用したDRのどちらを好むにせよ、災害後にビジネスを元の状態に戻すにはDR計画の用意も欠かせない。
レジリエンスの計画を立てるに当たって盛り込むべき要素には何があるだろうか。後編となる本稿は、基本的な要素と、最初はあまり考えないような要素についても考察する。
レジリエンス計画に盛り込む要素
レジリエンス計画ではセキュリティが鍵を握る。セキュリティ対策は最悪の事態に備えるのに役立ち、混乱が起きる前やそのさなかに発生しかねないサイバー攻撃への対抗手段になる。
企業がレジリエンスを必要とする部分は他にもある。自社の評判だ。企業の社会的イメージに関しては、ソーシャルメディアが一番の味方にも最大の敵にもなり得る。ソーシャルメディアは災害時のコミュニケーション支援に役立つだけではない。企業にとっては、一般向けの最新情報を扱う発表の場として機能することがある。
ソーシャルメディアで強い存在感を持つ企業は、ソーシャルメディアもレジリエンス計画の対象に含めなければならない。その上で、自社の社会的イメージが損なわれないようにするためのポリシーを確実に導入する必要がある。データは復旧できる可能性があるが、評判を失うことは大きなダメージになる恐れがある。
なぜ企業はレジリエンスに取り組まないのか
ここまででレジリエンス計画を整備することの重要性はよく理解できたはずだ。そうなるとなぜ、かなりの企業でレジリエンス計画の準備が遅れているのか不思議に思うのではないだろうか。データ損失やさまざまな潜在的災害が起きる恐れがあっても、コスト、時間、トレーニングなどが要因となり、レジリエンスに予算を割けない企業もある。
実際にインシデントが生じるまで、レジリエンス計画に取り掛からない企業は少なくない。レジリエンス計画に投資するには予算的に厳しい場合があるためだ。「レジリエンスが必要だ」という確信を持つことができない可能性もある。しかし、いつ災害が起きるかは誰にも分からない。可能であればレジリエンスの確立を優先させるべきだ。
レジリエンス計画のガイドライン
レジリエンス計画に着手することを決めても、どこから手を付ければよいか分からない場合もあるだろう。事業継続性、DR、セキュリティ対策の強化に役立つリソースを探すことはもちろん必要だ。レジリエンスのガイドラインとして役立ちそうな標準規格が幾つかある。
国際標準化機構(ISO)は、事業継続性とレジリエンスのための一連の標準規格を公開している。その一例として「ISO 22316:2017」が挙げられる。ISO 22316:2017はさまざまな規模や種類の公的機関、民間機関のレジリエンスを強化するためのガイドラインとして、ISOが2017年に公開した。ISO 22316:2017は業界や特定の市場に固有の標準規格ではない。
レジリエンスの参考となる別のISO標準規格には、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する「ISO/IEC 27001」やリスクマネジメントに関する「ISO 31000」などがある。
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