新型コロナウイルスがコールセンターに与えた影響【後編】
コロナ禍のコールセンターで採用が進むAI・自動化技術は完璧なのか?
テレワークに移行したコールセンター業務の負担を軽減したいのであれば、チャットbotやIVR(自動音声応答)といったAI/自動化技術が役に立つ。ただし限界もある。
コールセンターシステムを開発するベンダー各社は、チャットbotや人工知能(AI)技術、セルフサービスツールを用いた業務自動化の仕組みを開発し、提供してきた。中には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で、コールセンターの業務がリモートワークに置き換わる中で、価値が実証されつつある技術もある。
自動化技術は完璧なのか
大企業の従業員向け健康管理サービスを手掛けるVirgin Pulseも、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、コールセンターのオペレーターに対して在宅勤務などのテレワークを可能にした企業の一つだ。同社のカスタマーサービス担当責任者で、コールセンター業界団体Northeast Contact Center Forum(NECCF)の代表でもあるマイケル・ペース氏によると、NECCFの会員がコールセンターをリモート運用する「リモートコールセンター」に移行する中で最も恩恵が大きかったセルフサービスツールは、メッセージング機能があるツールだったという。メッセージング機能は、顧客が問い合わせ内容を自力で解決する助けになるため、コールセンターのオペレーターが対処しなければならない問い合わせを減らす。
AI技術を組み込んだチャットbotは、コールセンター業務の負荷軽減に役に立つツールの一つだ。ペース氏によると、顧客を順番に待たせて、オペレーターが電話をかけ直す単純なコールバック技術は、さらに役に立つことが実証されているという。
Gartnerのアナリスト、オリーブ・フアン氏によると、世界中の企業や政府機関の中には、コールセンター業務をテレワークに切り替えることができず、完全に閉鎖しているところもある。こうした人のオペレーターがいない場面では、メールやチャット、非同期メッセージといった、ITによる顧客との接点を指す「デジタルチャネル」が役に立つ。
在宅で電話を受けられるオペレーターを配置できる場合は、別の技術を使ってオペレーターの業務量と顧客の待ち時間を減らすことができるとフアン氏は言う。「IVR(自動音声応答)やチャットbot、プロセス自動化ツールを利用して、問い合わせ応答の最初のフローを整備することが効果的だ」(同氏)
自動化技術は非常時にコールセンターの業務を支援できるものの、それには限界があると、コールセンター業界団体International Customer Management Institute(ICMI)の共同創業者ブラッド・クリーブランド氏は指摘する。新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、セルフサービス技術やAI技術の効率的な使い方を習得した企業は少なくない。クリーブランド氏はそうした技術の位置付けについて、新型コロナウイルス感染症の流行が終息した後に改めて議論されると予想する。カスタマーサービスにおいて「自動化技術は人に取って代わることができる」と過剰に売り込むことには警鐘を鳴らしている。
「確かにこの事態を切り抜けるための対策の一部として、自動化技術は必要だ。しかしそれは、少なくとも私が目にしている限りでは、完璧な答えではない」とクリーブランド氏は話す。
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