エネルギー分野での活用が広がるAI【後編】
エクソンモービル、シェブロンや新興エネルギー企業は「AI」をどう使う?
エネルギー業界におけるAI技術導入が加速している。老舗の大手企業が導入に本腰を入れ始めただけではなく、新しい技術を武器に異業種の企業が急速に存在感を高めている。
従来のエネルギー企業は競争力を保つために、人工知能(AI)技術への投資を増やして利用可能な技術の選択肢を拡充し、減少の一途をたどるエネルギー源への依存を減らそうとしている。石油大手Exxon MobilとChevronは最近、「Oil and Gas Climate Initiative」(OGCI)に加入した。主要グローバル企業のコンソーシアムであるOGCIは、気候変動に対処する革新的な技術に10億ドルを投じている。またShell Energy Retailは最近、再生可能エネルギーへの投資を倍増する予定であることを発表した。これには太陽光発電や電気自動車技術への投資も含まれる。
異業種も「AI」でエネルギー効率化に挑戦
併せて読みたいお薦め記事
さまざまな産業に浸透するAI技術
電力業界のデータ活用
エネルギー分野の他の企業も、さまざまな業務を支援するためにAI技術を導入している。消費者のエネルギー使用状況を追跡したり、消費者がより個人に合わせてエネルギーの使い方を調整可能にしたりするためだ。
AI技術を使用して自律型のグリッド(送電網)運用機能を実現したり、厳しい環境に耐えて故障や大事故を避けながら運用を維持できるAIシステムを開発したりするエネルギー企業もある。英国のGrid Edgeは、消費者の行動パターンに応じてエネルギー使用を最適化するためにAI技術を利用する。
消費者は以前にも増して再生可能エネルギー源を求めるようになっている。エネルギー供給会社が提供する全体的なエネルギーに、再生可能エネルギーが含まれることを望んでいる。
さまざまな企業や政府などの組織が、クリーンエネルギー目標を自らに課している。これらの目標達成を支援するために、従来のエネルギー供給会社はこれらの要求を確実に満たせるようにする必要がある。
エネルギー分野のAIシステムは、エネルギーの使用状況管理、全体的な使用効率向上、節約を後押しする。スマート化を進めたシステムは重要な役割を果たす。天気予報から、熱や電力に対する顧客の需要予測まで、多くの要因を考慮に入れることができる。グリッドや石油・ガスのリアルタイム消費量をより正確に監視できることも重要だ。
消費者の間で、エネルギーの使用量を減らしてコストを削減できるスマートホーム機器に投資する動きが広がっている。エネルギー使用量の削減には、消費者自身のエネルギー使用習慣の分析が必要だ。エネルギー企業はこうしたデータを収集して活用することで、消費者によるエネルギー使用をコスト効率に優れたものに変えられるようになる。
従来のエネルギー供給会社以外の企業もこの業界に参入し、持続可能なエネルギーを利用する方向へと進む市場の変化に乗じている。米カリフォルニア州に本社を構えるスタートアップ(創業間もない企業)のStemは、エネルギー使用状況を精密に示すためにAI技術を使用し、顧客がエネルギー料金の変動を追跡して、エネルギーをより効率的に貯蔵できるようにしている。Siemensはグリッドを自動運用できるソフトウェアを開発した。このソフトウェアは、エネルギー使用の効率向上を支援する。
業界内では化石燃料、天然ガス、再生可能エネルギーの間で激しい競争が繰り広げられている。そうした中でAI技術はますます目立つ存在となっており、エネルギー分野にもたらす結果は莫大(ばくだい)なものがある。そのため消費者、政府、企業の各コミュニティーでの関心が高まっている。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
4
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
5
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
6
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
7
ANAが専用回線から移行した「NaaS」の全貌 ネットワーク準備が数カ月から数週間に
-
8
VBAマクロ“原則ブロック”後に「Office」でマクロを実行する方法
-
9
「プログラマー不要論」にThe Linux Foundationが示した答え
-
10
Qlik Senseを使った教育機関の予測分析は現場に何をもたらしたか
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー