鉱物の埋蔵量の自動測定も
「機械学習」で衛星画像から新鉱床を発見? 鉱山業界で始まったAI活用
これまでAI技術にあまりなじみのなかった鉱山業界で、AI技術の活用が進み始めた。AI技術が鉱山業界に果たす重要性とは。金鉱会社Newmontやデータサイエンス専門企業Kespry、Descartes Labsに話を聞いた。
鉱山業界はこれまでも高度な機械設備、衛星画像、精密計測機器などの技術を利用してきた。AI(人工知能)技術は使われ始めたばかりだが、作業者の時間と企業のコストを削減する可能性を秘めている。
地理空間の分析とデータサイエンスを専門とするDescartes Labは鉱山業に携わる顧客を抱え、鉱業向けパッケージ製品を提供している。同社は米国エネルギー省の科学技術研究機関であるロスアラモス国立研究所から独立した新興企業だ。
前述の通り鉱山業界はAI技術を使い始めたばかりだ。にもかかわらず「当社の顧客の多くは高いスキルを持つ専門家で構成された小規模なデータサイエンスチームを保有している」と、Descartes Labsでエンタープライズセールス部門のシニアディレクターを務めるジェームス・オルシュラック氏は語る。オルシュラック氏によると、今や地質学の学位を持つ人が、データサイエンスの学位を取得するために大学に通うといった変化が起こっている。
機械学習で衛星画像から雪や雲を取り除き、地形のみを残す
Descartes Labsが提供する鉱山業向けサービスでは、「Advanced Spaceborne Thermal Emission and Reflection Radiometer」(ASTER)のデータセットをAI技術と組み合わせて解析している。ASTERはNASA(米航空宇宙局)の地球観測衛星「Terra」が搭載する高度な光学センサーであり、NASAと日本の経済産業省が共同開発した。
ASTERの完全なデータセットを使うために、Descartes Labsは多くのCPU時間を費やしているとオルシュラック氏は話す。同社は機械学習を使用して、衛星画像から建造物や雲、雪を取り除いて、地形だけを残している。
鉱山会社はDescartes Labsの製品に自社のデータを取り込んで、鉱物の分類や地質のデータ、地球物理学のデータなど、さまざまな種類のデータを地形モデルに重ねる。Descartes Labsの技術により、機械学習を活用して新たな鉱床(地殻中にある鉱物の集合体)を見つけることができるようになった。既知の鉱床に関するデータを用いて、その鉱床とよく似た未知の鉱床を探索するのだ。
鉱床の探索を手作業で進めると数カ月から数年の期間が必要になる。金鉱(金を含んでいる鉱石)会社Newmontで遠隔測定のプリンシパルコンサルタントを務める地質学者のローリ・ウィッカート氏は「Descartes Labsの技術を使用すると、このプロセスを大幅に短縮できる。事実、手作業にかかる時間をかなり削減できた」と話す。
別のアプローチ
産業用ドローンソフトウェアと分析サービスを提供するKespryも鉱山業界に注目している。ただし採用しているアプローチは少し異なる。
2013年創業のKespryは、採掘計画やインベントリ管理のために鉱区(採掘などの鉱業活動を許可された地域)の上空に産業用ドローンを飛ばしている。同社は自社製品とドローンで撮影した画像を使用して、採鉱(鉱物の採掘)されている地帯の日々の地形変化を地図上に図解する。これにより、斜面の安定性や排水のパターンなどを特定している。発掘する鉱物の埋蔵量を自動測定することもできる。
KespryでCEOとチェアマンを兼務するジョージ・マシュー氏は「機械学習などのAI技術をまだ使用していない採鉱会社や他業界の企業にとっては、今こそが好機だ。今この分野に投資すれば、有利なスタートを切ることができる」と語る。
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