オンライン診療サービス3種を比較【YaDoc編】
患者が生体・生活データを自ら入力、生活習慣の自発的改善を促す「YaDoc」
インテグリティ・ヘルスケアのオンライン診療サービス「YaDoc」は、患者の日々の生活や健康状態を記録し、可視化できる。これらの機能は臨床にどのような効果をもたらすのか。
患者の診察室外での行動や体調、生活習慣を把握することは簡単ではない。患者が自らの日常生活を記録する仕組みを設けることで、患者の状態をより正確に理解できるようになる可能性がある。こうした点に注目したオンライン診療サービスが、インテグリティ・ヘルスケアの「YaDoc」だ。
サービスの主な機能
「疾患管理システム」をうたうYaDocは、オンライン診療の基本機能に加えて、患者の血圧や食事内容といった日々の生活習慣をモニタリングできることを強みとしている。YaDocはWebブラウザで利用可能な医療機関用アプリケーションと、スマートフォンで利用可能な患者用アプリケーションで構成される。それぞれの機能は以下の通りだ。
- 医療機関用アプリケーション
- 診察予約管理
- ビデオ通話によるオンライン診療
- 患者の健康状態と生活状況の確認
- オンライン問診票の作成
- 患者へのメッセージ送信
- 患者用アプリケーション
- 診察予約
- ビデオ通話によるオンライン診療
- 健康状態と生活状況の記録機能
- 問診への回答
- 医療機関からのメッセージへの返信
オンライン診療中は、ビデオ通話の映像と患者の健康記録を同じ画面に表示することが可能だ。オンライン問診票は医療機関が項目や設問を任意で作成でき、一部の疾患についてはテンプレートもある。患者は次回来院する日に診察料を精算するか、クレジットカードを使ったオンライン決済をするかを選択できる。クレジットカード決済を可能にするためには、医療機関はコイニーが提供するキャッシュレス決済サービス「STORES請求書決済」とYaDocを連携させる必要がある。
ユーザー数に応じた2つの料金プランがある。一つは、月額3万円(税別、以下同じ)の「クリニックプラン」だ。1施設の医療従事者ユーザー3人まで、医療機関用アプリケーションを利用できる。医療従事者ユーザーが4人以上の場合、1人追加ごとに月額1万円の追加利用料金がかかる。もう一つは病床数20床以上の病院向け「病院プラン」だ(利用料金と条件は問い合わせが必要)。患者用アプリケーションは無料で利用できる。
製品の特徴:患者が自らのデータを記録、診療の“隙間”を埋める
医療機関がYaDocを導入すると、患者に自らの体重や血圧、脈拍、呼吸数、食事内容といったデータを記録してもらい、患者とともに記録を管理できるようになる。日々記録したデータを基に、グラフで各データの推移を可視化できる他、食事内容を写真で記録できる。
患者用アプリケーションは入力しやすいボタンと文字の大きさにしたり、写真や図を使った記録を可能にしたりするなどユーザーインタフェース(UI)を工夫し、負担を抑えながら日々のデータの記録を続けやすくした。患者や疾患の状態によっては、次の診療までの間に数カ月の期間が開くことも珍しくない。そのような場合にも患者自身がデータの記録を続けることで、医療機関は診療がない期間の患者の生活/健康状態を詳細に把握できる。
メッセージ機能といった、患者と医療従事者のコミュニケーションを支援する機能も実装している。メッセージは「医療機関からのお知らせ」として医療機関から患者に送信でき、患者は1つのメッセージに対して1回だけ返信できる。
問診もアプリケーションを使って実施可能だ。問診票機能については「文字の大きさや図や数字の使い方など、スマートフォンで直感的に回答しやすいUIを目指して工夫を重ねた」とインテグリティ・ヘルスケアの技術開発室室長、島本大輔氏は話す。「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患」(COPD)や「逆流性食道炎」などの特定の疾患については、各疾患のスコアリング手法に基づいた問診票テンプレートと、これらの問診の評価方法を解説する「評価ガイド」を用意している。
COPDについては、COPDが患者の健康と日常生活に与えている影響を調べる「COPDアセスメントテスト」(CAT)か、日常生活の呼吸困難感を評価する「MRC息切れスケール」(MRC:英国医学研究評議会)の改訂版である「mMRC(修正MRC)息切れスケール」に基づく専用問診票を利用可能。逆流性食道炎については患者の自覚症状を反映した「Fスケール」(FSSG)に基づく専用問診票を利用できる。
患者が自ら蓄積したデータで自らの生活を顧みる
YaDocの患者ユーザーには、60代以上も少なくないという。島本氏は「UIが使いやすくシンプルであり、オンライン診療の受診や行動の記録がしやすいことが、年配の患者からの評価を得ているのではないか」と言う。
島本氏はYaDocの活用例として、COPD患者の禁煙指導の事例を挙げる。ある患者は44年の間、1日当たり約30本のタバコを吸っていた。YaDocのCAT問診票に回答し、日々の喫煙本数を記録しながら医師の禁煙指導を受けたところ、禁煙に成功したという。同氏によると、医師は問診の回答や記録内容を把握することで、具体的な禁煙指導がしやすくなる。患者自身も問診結果と医師のフィードバックによって自身の重症度を把握するようになり「喫煙記録を付けることで、日々の生活を省みる効果があった」と同氏は見解を述べる。
患者の情報をより詳細に把握したいと考える医療従事者にとって、こうした問診票や患者の日常生活のモニタリング機能はその助けとなる可能性がある。
この連載について
国内の主要オンライン診療サービス3製品の特徴を説明する。厚生労働省が2018年に発行したガイドライン「オンライン診療の適切な実施に関する指針」によると、「オンライン診療」は以下の行為を指す。
遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為
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オンライン診療サービス3種を比較
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