Microsoft 365ユーザーなら無料で使える
Microsoft純正、Wordの文字起こし機能「Transcribe」はどこまで使える?
「Microsoft Word」の文字起こし機能「Transcribe」は、音声ファイルを文字に書き起こすプロセスの合理化を図る。文字起こしに苦労している人にとっての“救世主”となるのか。
Microsoftがワープロソフトウェア「Microsoft Word」の文字起こしツールを立ち上げた。一部の企業にとってはサードパーティーによる文字起こしツールやサービスの代替になる可能性がある。
「Transcribe」というWordの文字起こし機能は、2020年8月に提供が開始された。エンドユーザーが、Wordの機能をWebブラウザで利用できる「Word for web」(Web用Word)に音声ファイルをアップロードすると、会議やインタビュー中の会話の文字起こしができる。別々の話し手をそれぞれ識別することも可能だ。
Transcribeは、録音内容の検索可能なバージョンを必要とする学生や記者、オフィスワーカーにとっては魅力的なはずだとアナリストは指摘する。この機能はOtter.aiの「Otter」のようなサードパーティー製文字起こしツールと競合する。
Transcribeは文字起こしに悩む人の“救世主”か?
Microsoftは競合相手に対して優位に立つ目的で、市場を主導するワープロアプリであるWordを利用している。WordのTranscribeはサブスクリプション形式のオフィススイート「Microsoft 365」のユーザー企業であれば、追加料金無料で利用できる。
Transcribeは、Webセミナーや話し合いの内容を間違いなしに記録することはできないという点においては、文字起こしツールを含む他社の音声認識ツールと変わらない。ミスを大幅に減らすためには、人を使って録音内容を書き起こしてもらう必要がある。調査会社Gartnerのアナリスト、クレイグ・ロス氏はTranscribeについて「限界がある。必ずしも多くのビジネスモデルを覆すとは考えていない」と話す。
現時点でTranscribeの利用にはさまざまな制限がある。Word for webのみで利用でき、1カ月当たり5時間分の録音の処理が可能。処理対象言語は英語のみだ。
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拙いオプションの代替
Transcribe以前にも、Wordにはライブの音声を文字に書き起こすことのできるディクテーション機能が存在していた。その機能を、音声から文字への変換サービスの代替として使おうとしても「あまりうまくいかなかったはずだ」とロス氏は話す。同氏は自身がコンピュータのマイクに向かって音声ファイルを再生した時のことを振り返る。Transcribeは、この不自然なやり方で結果が出せるとうたっている。
「私は基本的に、非常にぎこちないやり方で、ディクテーション機能を文字起こしのために使っていた」とロス氏は言う。「そのやり方でうまくいった時もあれば、途中でつかえてやり直さなければならない時もあった」
対照的にTranscribeはMP3、WAV、M4A、MP4といったさまざまなフォーマットの音声ファイルから文字を書き起こすプロセスを合理化する。エンドユーザーが音声ファイルをアップロードすると、TranscribeはWordドキュメントのサイドバーに書き起こした内容を表示する。この文字に添付されたタイムスタンプ付きの音声を利用すれば、エンドユーザーは録音内容を確認して間違いを修正できる。
ロス氏によると、文字起こしツールは役に立つ半面、限界もある。人が話す際は、くだけた話し方になったり、ミスをしたりするため、聞き手がそれらを補っている。筆記にはもっと慎重なアプローチが求められる。従って文字起こしツールは公式な文書の作成よりも、個人的なメモの作成に適している。
Microsoftによると、Transcribeは同社のクラウドサービス群「Microsoft Azure」のAI(人工知能)機能を使って実現した。同社はまたAzureのAIサービス群「Azure AI」を利用して、プレゼンテーションツールの「Microsoft PowerPoint」や表計算ツールの「Microsoft Excel」、メールクライアントの「Microsoft Outlook」など、Microsoft 365で利用可能な他のアプリケーションも強化している。
2020年に入ってMicrosoftは、AI技術を使ったプレゼンテーションのリハーサル機能「Presenter Coach」(プレゼンターコーチ)をPowerPointに追加した。Presenter Coachは、プレゼンテーションをする人が早口過すぎたり、単調だったり、接続詞を使い過ぎたりしていないかどうかを判断してくれる。
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