“価格ほぼ据え置き”が物語ること
「iPhone 12」購入の決定的理由は「5Gが使える」ではない?
Appleの「iPhone 12」は「5G」を使った通信が可能になったことが特徴だ。スマートフォンの買い手にとって、5Gが使えることはiPhone 12購入の原動力になるのか。
Appleはスマートフォン「iPhone」の最新モデル「iPhone 12」で、通信会社が「5G」(第5世代移動通信システム)を活用したサービスを提供しやすくするための顧客層を築こうとしている。
このほどAppleが発表したiPhone 12は、それまでのiPhoneより大幅に高速化したSoC(機能統合型半導体チップ)の「A14 Bionic」を搭載する。加えて上位モデルの「iPhone 12 Pro」「iPhone 12 Pro Max」は、「AR」(拡張現実)アプリケーション向けスキャナー「LiDAR Scanner」(LiDARスキャナ)を備える。
A14 BionicやLiDARスキャナといった要素は印象的で、5Gを使ったサービスの開発者にとっても魅力だ。一方でスマートフォンの買い手が古い機種の代替としてiPhone 12を検討する際、これらの要素はどれほど魅力的なのか。
iPhone 12の見どころは5Gではない?
「世界や北米の平均的なコンシューマーが、現在と次の端末アップグレードの間に5Gの大きな恩恵を受けられるとは思えない」。調査会社Enterprise Strategy Groupのアナリスト、マーク・ボウカー氏はそう話す。
ボウカー氏によれば、携帯電話会社と2年契約を結ぶエンドユーザーが、この契約の期限が切れる前に5Gがもたらす大きな革新を目にすることはなさそうだ。ただしそれまでのモデルとほぼ同じ値段で、処理速度が高速化し、機能が大幅に向上したカメラを備えたスマートフォンを入手することはできる。
特に「競争力はかなり高い」と、調査会社Forrester Researchのトーマス・ハッソン氏は指摘する。例えば画面が最も小さい「iPhone 12 mini」の価格は699ドル(国内税別価格7万4800円)からだ。AppleがiPhone 12シリーズ全体で、5Gを理由とした大幅な値上げを回避したのは、5Gサービスの成熟度の低さを認識しているためだと考えられる。移動通信システムの調査を手掛けるOpensignalのランキングによると、米国の平均的な5Gのデータ伝送速度(下り)は主要15カ国で最下位の52Mbpsだった。
通信会社の5Gサービスはいずれ大きく成長するとアナリストは予想する。Appleのデバイスと、5Gを後押しする同社の宣伝力があれば、5Gは引き続き通信会社の潜在顧客の目に留まり続ける。「Appleが5Gのためにやることの方が、5Gが新しいiPhoneのためにやることよりも大きい」とハッソン氏は言う。
Appleの5Gの未来
米国の企業や消費者が「5G待ち」の状態の中、AppleはiPhoneの買い手を感嘆させる初期の5GアプリケーションとしてAR技術に賭けている。AR技術は現実世界の映像や画像の上にリアルタイムでデータを重ね、役に立つ情報を提供する。
iPhone 12 Pro/Pro MaxのLiDARスキャナは、現実世界のより正確な見え方を映像や画像に反映させる。LiDARスキャナによってiPhone 12 Pro/Pro Maxは現実世界の映像や画像の上に、より精密にデータやグラフィカルな要素を重ねられるようになる。
企業がARアプリケーションを利用すれば、例えば工場内の空いている空間に機械の画像を重ね合わせて、労働者の使い方に基づく最適な位置を決定しやすくなる。現在、こうした過程には数週間を要しており、段ボールの小道具を動かすといった作業を伴っている。
発表時点での価格はiPhone 12が799ドル(国内税別価格8万5800円)から、iPhone 12 Proは999ドル(同10万6800円)から、iPhone 12 Pro Maxは1099(同11万7800円)から。
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