OnwardMobilityが2021年に発売
「BlackBerry」復活へ 5G×物理キーボードの“新旧融合スマホ”は売れるか
「BlackBerry」が復活する。OnwardMobilityが開発中のスマートフォンは、BlackBerryの象徴である物理キーボードを備える一方で「5G」による通信を可能にするなど、新旧技術の融合を図る。市場に与える影響は。
新興企業のOnward88(OnwardMobilityの名称で事業展開、以下OnwardMobility)は、現代的な機能と懐かしい機能の融合が、2021年前半に発売する「BlackBerry」ブランドの新しいスマートフォンの起爆剤になると見込んでいる。
OnwardMobilityは2020年8月、「5G」(第5世代移動通信システム)による通信が可能で、物理キーボードを備えた「Android」搭載スマートフォンを発売する計画を発表した。物理キーボードは、2010年にピークに達したBlackBerry人気の源泉だった。新旧の機能の融合は、モバイルプロフェッショナル(モバイルデバイスを使うビジネスパーソン)に、Appleの「iPhone」やSamsung Electronicsの「Galaxy」シリーズを下取りに出すのを納得させることができるのだろうか。
“復活のBlackBerry”はiPhone、Galaxyの牙城を崩すか
アナリストの懐疑的な見方の背景には、OnwardMobilityの計画の詳細が不明なことがある。同社はBlackBerryの名称のライセンスを受けているが、発売するスマートフォンの技術的な仕様や価格、機能を明らかにしていない。
「懐かしさ以外にも魅力があるかどうかは不明だ」と、調査会社Forrester Researchのアナリストを務めるJ.P.ガウンダー氏は指摘する。ガウンガー氏は、新しいBlackBerryが企業市場に進出するのは「望み薄だ」とみている。
BlackBerryの名を冠したスマートフォンは二度と登場しそうもないと考えられていた。BlackBerryが2020年2月に、デバイスメーカーのTCL Communicationとのライセンス契約が終了すると発表したからだ。
アナリストは、BlackBerryは長年の間に存在意義を失っていったと指摘する。物理キーボードやメッセージサービス「BlackBerry Messenger」のような初期のイノベーションを超える進化を遂げられなかったからだ。調査会社Gartnerのアナリスト、テュオン・グエン氏によると、スマートフォン市場でのBlackBerryのシェアは、2016年までにほとんどなくなった。
BlackBerryは知名度が高い。ただし新しいBlackBerryは、市場に足掛かりを得るのに苦労するとアナリストは予想する。一部のモバイルプロフェッショナルは、古いBlackBerryで物理キーボードを使っていたことを覚えている可能性がある。だが、その入力方法は「この10年間で、一般的ではなくなった」とガウンダー氏は語る。
物理キーボードによって、メールを素早く入力できる可能性はある。ただし、それは「限られたユーザーにしか響かない」とグエン氏は指摘する。
OnwardMobilityのピーター・フランクリンCEOは、BlackBerryが輝いていた時期に同社のスマートフォンを使っていた企業は、OnwardMobilityが新しいスマートフォンへの搭載を計画しているセキュリティや生産性機能を求めていると主張する。現在のスマートフォンは「こうしたユーザーニーズに応えていない」と同氏は指摘。「われわれはそのギャップを埋めようとしている」と説明する。
そのギャップがどこにあるのかは不明だ。Appleは近年、プライバシーとセキュリティに重点を置いており、デバイスユーザーがユーザーデータを制御下に置ける仕組みを推進している。SamsungもGalaxyシリーズのスマートフォンに、顧客の個人情報とビジネス情報の追加の保護レイヤーとして、独自ソフトウェア「Knox」を搭載する取り組みを進めている。
前途は多難か
Android市場はSamsungがトップシェアを握っており「新しいスマートフォンが食い込む余地はほとんどない」とガウンダー氏は説明する。スマートフォン「Pixel」シリーズを手掛けるGoogleでさえ、Samsungを追い落とすことはできそうもない。
「カナダ以外には、BlackBerryブランドが強いところはもうない。Atariがゲーム市場に戻って来るようなものだ」とダウンダー氏は指摘する。「BlackBerryを覚えている人はいるが、その価値提案を受け入れるかどうかは別の話だ」(同氏)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)も、もともと競争が激しいスマートフォン市場に新しいデバイスを投入することをより困難にしていると、グエン氏は指摘する。景気低迷への不安から、ユーザーのデバイス購入姿勢は保守的になっている傾向がある。
それでも「新旧の機能の組み合わせが、市場で威力を発揮する可能性もある」と、調査会社Constellation Researchのアナリストを務めるホルガー・ミュラー氏は語る。「キーボードを使うことで、いかに生産的に仕事ができたかを覚えている元BlackBerryユーザーが何百万人かいる間は、市場は存在する」(ミュラー氏)
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー