ExcelとPower BIの連携強化で何が変わるのか【前編】
「Excel」と「Power BI」の双方向連携を進めるMicrosoftの意図とは?
Microsoftは「Microsoft Excel」と「Power BI」の連携を強化する。Power BIでExcelのデータを取り込むといった“一方通行”の連携ではなく、双方向の連携が可能になるという。この変更の意図とは。
Microsoftは表計算ツール「Microsoft Excel」とビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Power BI」の連携機能を強化する。Power BIは以前からExcelのデータを抽出して読み込むことが可能だった。新しい連携機能によってExcelは、Power BIのデータをさらに利用しやすくなった。
2020年10月29日のブログでMicrosoftは、今回のアップデートを公表した。ExcelとPower BIの両方のユーザーは、Power BIで発行したデータを簡単に見つけられるようになり、構造化されたデータとしてExcelにシームレスに取り込める。
ExcelとPower BIの連携は「一方通行」から「双方向」へ
高度なBIツールが登場しても、スプレッドシートは依然として分析用ツールとしての用途で人気を集めている。実際のところ、スプレッドシートがあまりにも親しまれていることから、GRID、Kloudio、Sigma Computingのような新興ベンダーは、ダッシュボードではなくスプレッドシートのインタフェースを採用したデータ分析ツールを開発している。
一方Microsoftは、Power BIや「Azure Synapse Analytics」といったデータ分析ツールを開発しながらもExcelへの投資を続けている。2018年には単一セルで、インターネットを通じて株価情報や地理情報などをリアルタイムに取得できる機能をExcelに追加した。このときExcelに初めて「Data Types」(データ型)の概念が組み込まれたことになる。データ型は、データの種類を定義する仕組みだ。
Microsoftのブログによると、その後Excelのユーザーから「株価情報や地理情報のデータ型に加えて、独自のビジネスデータも利用したい」との要望が寄せられた。これに応えて同社は、ExcelとPower BIの間の新しい連携機能を開発したという。
データ分析のコンサルティング企業TreeHive Strategyのプリンシパルであるドナルド・ファーマー氏は、この動きを「Excelの累積的な進化だ」と位置付ける。ファーマー氏はコンサルタントになる前は、MicrosoftでPower BIを担当するデザインイノベーションチームの責任者だった。
「以前からExcelはPower BIのための主要なデータソースだった」とファーマー氏は語る。ExcelとPower BIはこれまでも密接に連携していたが、ほとんどは一方通行で、事実上はExcelがPower BIのデータソースだった。だが今回ExcelとPower BIの連携が進み、ExcelユーザーがPower BIを活用しやすくなった。「これはそれほど驚くような動きではなく、両者の連携による新しい成果だ」と同氏は解説する。
Microsoftは質問応答システム「Wolfram|Alpha」を提供するWolfram Alphaとの提携を通じ、Excelユーザーが使える公開済みのデータ型を充実させている。ただしWolfram Alphaとの提携を通じたデータ型を現時点で利用できるのは、開発中の機能をいち早く利用できるプログラム「Office Insider」参加者向けのプレビュー版Excelに限られる。
中編は、ExcelとPower BIの新しい連携機能がもたらすリスクを考察する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
4
エンジニアの生産性はどう測る? マネジメントに不可欠な可視化の実現方法とは
-
5
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
6
ただなのに「12時間以内の復旧」も要求 無償OSSに商用レベルを求める企業の末路
-
7
「IoT通信環境の構築・運用」に関するアンケート
-
8
生データを隠してデータ連携 KDDIが4000万人の顧客情報を安全に分析できた理由
-
9
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
10
大阪証券取引所がHiRDBで実現した「世界トップレベルの応答速度」を誇る新売買システム
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー