統合ストレージへの道【前編】
ファイルストレージとオブジェクトストレージの統合の課題
ファイルシステムベースのストレージとオブジェクトストレージを統合することで両者の利点を享受しようという動きがある。
ストレージにはパフォーマンス、コスト、回復力、スケーラビリティというニーズがある。ITアーキテクトは、絶えずこのバランスを取らなければならない。
その結果がエコシステムの混在だ。大規模なデータセットとアーカイブにはオブジェクトストレージ、非構造化データにはファイルシステムベースのNAS、構造化データにはブロックベースでパフォーマンスの高いアレイが用いられる。
だが非構造化データの増加に伴って、クラウドスケールの利点とファイルシステムベースによるアプリケーション互換性を融合させた、ファイル/オブジェクト統合ストレージを作成する動きが生まれている。
アプリケーションは、ファイルとオブジェクトの両方でデータにアクセスできる。どちらでアクセスするかはデータの使用方法に応じて最適化される。頻繁にアクセスするローカルレコードにはファイル、長期のウォームストレージまたはコールドストレージにはオブジェクトを使うことができる。複数のアプリケーションが異なるプロトコルを使う場合でもストレージを共有することが可能だ。
一例として、IBMはオブジェクトシステム上の長期バルクストレージを挙げる。このオブジェクトシステムには、分析アプリケーションやエンドユーザーの共有ファイルが同居する。ファイルプロトコルを使って最新のオブジェクトストレージにアクセスすることも可能だ。
ファイルとオブジェクト
ファイルストレージでは、ファイルはOSやアプリケーションが直接アクセスできるディレクトリ構造に整理される。ファイルストレージは、読み取りと書き込みに優れたパフォーマンスを発揮する。だが、大規模になると管理が難しくなる。
オブジェクトストレージは豊富なメタデータを使ってオブジェクトを整理する。オブジェクトストレージは場所やハードウェアとは無関係に機能し、際限なく拡張できる。結果として、オブジェクトはクラウドストレージの主要な構成要素になっており、企業の大規模なオンプレミスデータプロジェクトにも使われている。
だが、物理ストレージがアクセスプロトコルに応じて変わるわけではない。ドライブ上ではバイト列で構成されることに変わりはない。ベンダーがストレージのプールを複数のアクセスプロトコルに公開できれば、データの格納方法やアプリケーションの設計方法に柔軟性を持たせることができる。
ベンダーの作業の多くは、ファイルとオブジェクトのメリットを組み合わせ、両者の制約の克服を目指すことになる。
「ファイルシステムは全てのコンピュータシステムの重要な部分であり、アプリケーションやOSがデータを格納する最も一般的な方法であることは変わらない」と話すのは、451 Researchで応用インフラおよびストレージ技術部門のシニアアナリストを務めるスティーブン・ヒル氏だ。
「ファイルシステムは、シンプルなディレクトリを提供する。ただし、ファイルシステムが提供する属性はファイル名、ディレクトリツリーなどわずかな情報に限定される。そのためコンテンツについて得られる洞察は多くない。オブジェクトストレージは、データについてのさまざまな抽象化モデルを提供し、カスタマイズ可能な広範なメタデータをサポートする」
ヒル氏が指摘するのは、この強力なメタデータが提供する「非構造化データのセキュリティ、保護、ライフサイクル管理のきめ細かな自動化」だ。だが、従来のアプリケーションからオブジェクトストレージに直接アクセスすることはできない。
オブジェクトストレージを操作するにはアプリケーションをリファクタリングするか、ファイルとオブジェクトの間で変換を行うゲートウェイを使用する必要がある。これにはボトルネックが生じる恐れがある。
後編では、統合ストレージのメリット/デメリットとユースケースを紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー