ハイパーコンバージドインフラの進展は、ストレージ管理者の重要度を低下させた。ストレージ管理者が今後進むべき道は2つある。
コンバージェンスへと向かう動きは、ストレージ管理者という役割をなくしてしまう可能性がある。複数のテクノロジーが競合するようになり、クラウドが進化するにつれ、データセンターではゼネラリストとしてのスキルセットのニーズが高まっている。
ストレージの専門家が突然望まれなくなるわけではない。だが、ストレージ専門家のこれまでの仕事は、専門性の低いIT担当者でも徐々に扱えるようになっている。
コンバージドインフラやハイパーコンバージドインフラ(HCI)では、ソリューション設計に関連する課題の多くが既に解決されている。パッケージ全体が事前構成されているため、アレイやサーバをイーサネットやファイバーチャネルに接続する方法を考える必要はない。
ソフトウェアの面、つまり抽象化のレベルでは、量とパフォーマンスプロファイルの定義だけが必要になる程度なので、初心者クラスのIT担当者でも対応できる。
専用のストレージインタフェースやシステム管理者のコンソールからこうした機能にアクセスすることもほとんどない。障害が発生したドライブを交換する必要があることを除けば、ストレージ管理者の給与を正当化する業務はあまりない。
ストレージ管理者がその資格と給与レベルを維持するには、データセンターでニーズが高まる業務に対応できるさまざまな専門知識を習得する必要がある。そのためにたどる道筋は2つある。まずは1つ目の道筋を見てみよう。
特定の業務で働いている限り、その業務専門のストレージ知識を築き続けることができる可能性がある。コンバージド環境やハイパーコンバージド環境は、最も一般的な応用分野に使用される場合が多い。だが、専門のストレージスキルが引き続き必要になる業務や特定のワークロードがある。
例えばオンサイトやクラウドのオブジェクトストレージに関する技術がこれに当たる。オブジェクトストレージは、その導入設計に幾つか検討が必要になる。オブジェクトストレージは専門のストレージサプライヤーの領域になるため、その調達過程はストレージ管理者の関与が鍵になる。
もう一つの例は、人工知能に取り組む組織だ。人工知能にとってストレージは不可欠なコンポーネントになる。このカテゴリーにはあらゆる分析アプリケーションも含まれる。こうしたアプリケーションは、アクセスと容量のバランスを正しく取ることが重要だ。
だが、ファイバーチャネルの知識をイレージャーコーディングの知識に単純に置き換えることはできない。ある業務のストレージ専門家として、雇用主が直面する課題に対処するスキルを習得しておかなければならない。現時点ではネットワーク、セキュリティ、クラウドの3分野の専門知識が求められるだろう。
ネットワークの知識が求められるのは、ネットワークが現在大きく変革しつつあり、適切に選択できる人材が必要になるためだ。セキュリティの知識が求められるのは、企業の規模を問わず、現時点で多額の投資が集中的に行われているためだ。クラウドの知識が求められるのは、組織が戦略を検討する必要があるためだ。
道筋はもう一つある。ストレージ専門家としての立場を断念し、インフラ全般の管理者になることだ。
サーバやネットワークなどの専門知識を取得するメリットは、データセンターインフラの概要を把握し、インフラの効率を高める方法を理解できるようになる点にある。ストレージアレイの知識と同程度に、ハイパーコンバージドインフラの管理に精通することを目指す。デジタル変革プロジェクトを進める企業は、特に現代のスキルセットを延ばしている管理者を求めている。
今求められているのは自動化、スクリプティング、APIとの対話だ。自動化は、管理コンソール設定の構成による。スクリプティングは、コンソール自体が扱わないものを自動化する。APIとの対話は、サードパーティー製システムを自動化に統合する。
これらのスキルを備えれば、以下3タイプのデータセンタープロジェクトを支援できる専門家になることが可能だ。
第1のタイプがビジネスインテリジェンスアプリケーションだ。このタイプは特定のサーバでデータを利用できるようにすることが求められる。
第2のタイプはDevOps戦略だ。このタイプは開発者が企業ガバナンスに反することなく、要求に応じて切り離すことができるリソースが必要になる。DevOps戦略のもう一つの側面として、アプリケーションがモジュールに分割される。こうしたモジュールは、自動化とAPIの相互接続が適切に行われ次第、ハイブリッドアーキテクチャで機能できるようにする必要がある。
第3のタイプは、IDとアクセス管理だ。このタイプはユーザーの生産性を損なうことなくリソースを保護することが前提になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
日々収集/生成されるデータが急増している中、それを利活用するための基盤になるデータベース向けストレージの重要性が高まっている。現代の複雑なIT環境において、どのようなストレージが理想的なのか。本資料で詳しく解説する。
「2025年の崖」として不安視されたレガシーシステムや人材不足の問題は、2025年を迎えた今、解消に向かいつつあるという。その理由とともに、次のチェックポイントとなるだろう2027年に向けて取り組みたいAI活用のポイントを解説する。
データ生成デバイスの進化・多様化により、保存すべきデータ容量は急増した。その管理においては、コストとパフォーマンスのバランスが課題となっている。解決策の1つとして注目される「HPSS」の効果について、導入事例を紹介したい。
業務のデジタル化が進み、データ量やワークロードが増大していた大阪府農協電算センター。それによりインフラの負荷が高まり、性能を向上させることが喫緊の課題になっていた。本資料では同社がどのようにインフラを移行したのか解説する。
「データを共有しておいてください」といった言葉はもはや日常となり、共有ストレージの活用は欠かせないものとなっている。一方で、「容量が不足している」「外出先で社内ファイルを閲覧できない」などの課題を抱える企業も多い。
次世代サーバはどこまで到達した? 集約率・電力消費・耐量子暗号の現在地 (2025/7/9)
製造や医療で注目の「エッジAI」、産業用コンピュータにいま必要な技術とは (2025/5/23)
クラウド全盛期になぜ「テープ」が再注目? データ管理の最前線を探る (2025/4/24)
データの多様化と肥大化が加速 ファイルサーバ運用は限界? 見直しのポイント (2025/4/8)
Hyper-Vは「次の仮想化基盤」になり得るのか 有識者の本音を聞く (2025/3/14)
なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...