主要ベンダーのクラウドストレージサービスには当然ながら類似点と相違点がある。構築するシステムやアプリケーションによっては、その違いが致命的になることもある。各社の違いを理解しておこう。
前編(Computer Weekly日本語版 9月5日号掲載)では、クラウドストレージサービスの概論とAmazonのサービスについて解説した。
後編では、Microsoft、Google、IBMのサービスを紹介する。
「Azure Blob Storage」は、Azureのオブジェクトストレージサービスだ。このサービスは、ブラウザやクライアントへのファイルサービス、音声と動画のストリーミング、バックアップ、アーカイブ、DR、分析(オンプレミスまたはAzureホスト型)を提供することを目的とする。
Azure Blob Storageの考え方は、データを“BLOB”(訳注)で保持することだ。これにより、量に制限を設けずにコンテナ内部に保管できる。同様に、ユーザーのストレージアカウント内にも保持できる。URL、AzureのREST API、PowerShell、コマンドラインインタフェース(CLI)、Azureのクライアントライブラリを利用してアクセスできる。
訳注:バイナリデータを格納するデータ型。Binary Large Objectの略称とされるが、開発者は何の頭文字でもないと語っている。
「Azure Files Storage」は、サーバメッセージブロック(SMB)、RESTインタフェース、Azureのストレージクライアントを利用してアクセスできる。複数のアプリケーションやVMからボリューム単位にアクセスできるようになっていて、Windows、Linux、Macなどのクライアントを問わず、URLを使ってどこからでもアクセスできる。「Active Directory」によるアクセス管理も予定されているが、まだ利用できない。本稿執筆時点では、Shared Access Signature(SAS)トークンを生成することで、指定した期間内であれば指定したファイルへのプライベートアクセスが許可される。
「Azure Disk Storage」は、「Premium SSD」「Standard SSD」「Standard HDD」という3階層のパフォーマンスを用意している。どれを管理対象にし、どれを管理対象外にするかを選択できる。管理対象外のディスクの作成時は、管理とスケーリングをユーザーが行う。例えば、VMのパフォーマンスを制限しないように、ストレージアカウントの使用を定期的にチェックする必要がある。
AzureのディスクはVM専用の仮想HDDで、他の場所からアクセスする必要のない永続データをVMに提供することを目的としている。
続きを読むには、[続きを読む]ボタンを押して
会員登録あるいはログインしてください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。
半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。
システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。
SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。
生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。