主要ベンダーのクラウドストレージサービス総まとめ(AWS編)AWS対Azure対Google対IBM(前編)

主要ベンダーのクラウドストレージサービスには当然ながら類似点と相違点がある。構築するシステムやアプリケーションによっては、その違いが致命的になることもある。各社の違いを理解しておこう。

2018年09月14日 08時00分 公開
[Antony AdsheadComputer Weekly]

 2017〜2018年期、収益上位4社のパブリッククラウドサービスプロバイダーは、

  • 「Amazon Web Services」(AWS)
  • 「Microsoft Azure」
  • 「Google Cloud Platform」
  • 「IBM Cloud」(旧「SoftLayer」)

だ。各社の市場シェアは、Amazonが50%、Microsoftが約10%、GoogleとIBMがそれぞれ約3%を占めている。

 これら4社は同じようなサービスを提供しているが、ハイブリッド運用など、一部の機能に違いがある。ストレージもクラウド運用にとって重要な要素だ。ここではクラウドストレージサービスに注目してその主な違いを紹介する。

クラウドストレージサービスの違い

 クラウドプロバイダー大手4社には、ストレージサービスに関して類似点が幾つかある。

 例えば、各社はいずれもオブジェクトストレージプラットフォームを提供している。このプラットフォームには、プロバイダーのクラウドまたは顧客のデータセンターからアクセスできる。ファイルストレージも各社が提供しているが、GoogleのファイルストレージにはGoogleのコンピューティングインスタンスからしかアクセスできない。

 ブロックストレージも各社が提供している。ブロックストレージにアクセスできるのは一般に、各プロバイダーのクラウドで動作するアプリケーションや仮想マシン(VM)に限定される。

 ただし、利用可能なストレージサービスの範囲を考えると大きな違いが生まれる。

 Amazonが恐らく最も進んでいる。同社が提供するサービスは、オブジェクトストレージ、ブロックストレージ、ファイルストレージの全てに対応する。加えて、アーカイブや磁気テープの代替を目的として長期にわたって利用することを前提としたコールドストレージ「Amazon Glacier」も提供する。

 プロバイダーが提供するストレージサービスの全てが、そのプロバイダーのブランドで提供されているわけではない。クラウドで自社製品のイテレーションを利用可能にしているDell EMCやNetAppのようなサードパーティーのストレージオプションも利用できるようになっている。この点でもAmazonが最も多くのオプションを提供している。

 構築しようとしているものによっては、そのプロバイダーで使える製品とサービスの範囲が重要になることがある。そのため、選択肢の多さがプロバイダー選択の大きな決め手になる可能性がある。特にマルチクラウド運用のように複雑な問題ではその傾向が強い。Amazonが生み出した「Amazon Simple Storage Service」(S3)は、デファクトスタンダードのクラウドオブジェクトストレージプロトコルになっている。

 コンプライアンスの点では、全てのプロバイダーのストレージサービスはPCI DSS、HIPAA(訳注)、欧州連合(EU)の規制など、米国とヨーロッパの主な規制の枠組みを満たす必要がある。

訳注:Health Insurance Portability and Accountability Act:米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令。

 プロバイダーの選択に影響する可能性があるその他の要因に、地理的な可用性がある。Amazonは55カ所の「アベイラビリティーゾーン」を用意し、ある地域のデータセンターをグループにまとめて障害回復力を高めている。これに対し、Azureは52カ所の「リージョン」、Googleは49カ所の「ゾーン」を用意している。

Amazon




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