パンデミックがもたらした人事の課題【前編】
新型コロナで「男女間の賃金格差」が拡大? Gartnerが語るこれからの人事
企業活動に大きな混乱を引き起こした新型コロナウイルス感染症は今後、人事部門にどのような影響を及ぼすのか。Gartnerに聞いた。
調査会社Gartnerの人事調査責任者を務めるブライアン・クロップ氏によると、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)と社会不安の増大は、2021年の人事動向に大きな影響を与えるという。
新型コロナが男女賃金格差を広げる理由
COVID-19のパンデミックは、前例がないほどテレワーク実践の動きを広げた。2021年には、男性と女性の賃金格差が広がる可能性があるとクロップ氏は言う。パンデミック終息後、男性は女性よりもオフィス勤務に戻る可能性が高いためだと同氏は説明する。
労働力も2021年にはますます国際的になる傾向がある。企業は遠隔地の従業員をサポートすることに慣れつつある。国に関係なく、これは2021年に重要な人事動向になる可能性がある。
昨今では人種差別や女性差別などを問題視する社会正義運動に対し、企業はより活発な社会活動が求められている。「有言実行しなければ従業員は会社を離れていく」とクロップ氏は述べる。
米TechTargetはクロップ氏に、2021年の人事動向に関する見解を聞いた。
―― オフィス勤務に永久に戻ることはなく、フルタイムまたはパートタイムで在宅の仕事を続ける従業員は、全体の何パーセントになると考えますか。
クロップ氏 私の予測はこうだ。従業員の約20%がフルタイムのテレワークで働き、従業員の30%が週に1日、または月に数日、重要な会議のためにオフィスに行くことになる。約50%が午前9時から午後5時までオフィスで勤務する。
―― あなたは「オフィス勤務に戻った従業員は給与面で待遇が良くなり、これが男女の賃金格差を悪化させる」との考えだと聞いています。そのように考える理由は何でしょうか。
クロップ氏 女性はフルタイムのテレワークで仕事を続けるか、テレワークとオフィス勤務を組み合わせたハイブリッドな環境で仕事を続けるかを選択する可能性が高い。男性はフルタイムのオフィス勤務に戻りたいと考える傾向がある。マネジャーは一般的に、パフォーマンスが同じであっても、テレワーカーよりもオフィス勤務の従業員の昇給率を高め、昇進させることが多い。こうしたことは、男女の賃金格差が拡大する要因となる可能性がある。
オフィス勤務の従業員の方が高いレベルで業績を上げた場合、彼らを昇進させ、昇給率を高めることは理にかなっている。ただしテレワークで働く従業員とオフィスで働く従業員の間で、平均的なパフォーマンスに違いは見られない。
―― 賃金格差の結果として生じることは。
クロップ氏 パフォーマンスが同じである場合、性差別に対する批判の的になる可能性がある。「性別の賃金格差が悪化している」ことが公になった企業は、能力のある人材を新たに雇ったり、留保したりすることが難しくなるだろう。
同じパフォーマンスレベルであっても、同業者と比べて給与が少ないことが明らかになると離職率が増加する。その過程で人件費の幾らかを節約できる可能性はある。だが危険を冒す価値はない。
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