Apple製OS用プログラミング言語比較【後編】
「Objective-C」「Swift」はどちらを選ぶべきか? 2大Apple言語の比較ポイント
Apple製OS用アプリケーションの開発で使われるプログラミング言語は、従来中心だった「Objective-C」と、近年台頭している「Swift」の主に2つだ。どちらを選べばよいのか。長所・短所、選定時のポイントをまとめた。
「macOS」「iOS」などApple製OS用アプリケーションを開発するためのプログラミング言語の主流は大きく2つある。1つ目は歴史のある「Objective-C」、2つ目は2014年に登場した新顔の「Swift」だ。
Objective-Cはなぜ使われ続け、なぜ嫌われるのか
一般にObjective-Cエンジニアは、以下の点でObjective-Cを好む。
- macOS用アプリケーション開発のためのフレームワーク(特定の設計思想に基づくプログラム部品やドキュメントの集合体)「Cocoa」を扱うことができる
- メソッド(データに対する処理)を呼び出す際に角かっこ(ブラケット)を用いる独自の構文(メッセージ式)を採用する
- コンパイル時ではなくアプリケーション実行時に変数のデータ型(値の種類)を決定する「動的型付け」の仕組みを持つ
Objective-Cは1980年代からの古い歴史があり、レガシーアプリケーションを更新する上で重要なプログラミング言語であることは間違いないだろう。実績の豊富さや信頼性の高さを重視するエンジニアが安心して使うことができる。一方で開発者向け質問投稿サイト「Stack Overflow」が2020年に実施した調査では、「嫌いなプログラミング言語」としてObjective-Cを挙げた回答者は76.6%に上った。
Swiftが好まれる理由と、注意が必要な理由
Swiftエンジニアは概して、Swiftプログラムのコンパイル速度の速さ、自動メモリ管理機能の「ARC」(Automatic Reference Counting:自動参照カウント)によるメモリ管理効率の高さ、簡潔な構文によるプログラムの可読性の高さを評価している。Appleは同社製OS開発の中核にSwiftを据える意向を明確にしており、Swift用API(アプリケーションプログラミングインタフェース)の作成と公開に力を入れている。
アップデートが頻繁なため、参照しなければならないドキュメントやチュートリアルが増えやすく、それらの情報がすぐ古くなることがSwiftの課題だ。サードパーティー製IDE(統合開発環境)での開発に限界があることや、モバイルOS「iOS」の旧バージョンで稼働するアプリケーションを扱えないことを指摘する開発者もいる。
SwiftはObjective-Cのさまざまな短所の解決と新しい開発標準の開拓を目指している。ただしObjective-Cを使用していた開発チームがSwiftに移行するのは簡単ではない。資金、開発時間、人的リソースへの多大な投資が必要となる場合もある。
Objective-CとSwiftのどちらを選べばよいのか
Apple製OS用アプリケーション開発者は、Objective-CとSwiftの両方に、ある程度習熟しておくことが安全だろう。特定のプロジェクトに適したプログラミング言語を選ぶ必要がある場合は、次の項目を参考にするとよい。
- 新しいアプリケーションを作成するのか、それとも既存アプリケーションの改修が中心なのか
- プロジェクトおよび開発で重要な機能やツールでそのプログラミング言語を扱えるかどうか
- チームに所属する開発者はどちらのプログラミング言語に習熟しているのか
- Swiftのような新しいプログラミング言語を学ぶ意欲がチームにあるかどうか
- Swift経験者を新しく採用する資金がチームにあるかどうか
- 新しいアプリケーションアーキテクチャや設計方法を追求したいかどうか
- 開発するアプリケーションはビジネスクリティカルかどうか
- その際、どのような要件を満たす必要があるのか
- 開発者はObjective-CプロジェクトとSwiftプロジェクトの両方に従事できるかどうか
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー