モバイルアプリケーション開発の主な要件にデバイスのOSの種類がある。「iOS」「Android」あるいはその両方で利用できるアプリケーションの開発に適したプログラミング言語やツールには、どのようなものがあるのか。
モバイルアプリケーションの開発やテストに使用するツールおよびプログラミング言語の選択では、考慮すべきさまざまな要因がある。プロジェクトの目的、予算、チームメンバーの専門知識、時間の制約、ステークホルダーがアプリケーションに求める要件などだ。対象デバイスのOSに応じて、どれを使うのかを適切に選ばなければならない。
前後編にわたり、IDE(統合開発環境)からテストツールまで、モバイルアプリケーション開発ツールについて開発者が知っておくべき情報を紹介する。ツール選択時に注意したいことや、主要なモバイルアプリケーション開発手法の長所と短所を確認しておこう。
特定OS専用のモバイルアプリケーションを「ネイティブアプリケーション」と呼ぶ。「Android」または「iOS」のネイティブアプリケーション開発を支援するツールには、さまざまな選択肢がある。
Androidアプリケーション開発で注意しなければならないのは、多種多様なAndroid搭載デバイスが、さまざまなバージョンのAndroidをインストールしていることだ。デバイスとOSの種類が多岐にわたるため、セキュリティ対策が難しくなる場合がある。
一般的にAndroidアプリケーション開発用プログラミング言語として用いられているのは「C++」と、Googleの推奨言語である「Java」「Kotlin」だ。「KotlinはJavaより習得しやすく、Javaと100%の相互運用性がある」という意見を持つ開発者もいる。一方でJavaはKotlinよりも長い実績を持ち、開発者の間に広く浸透している。
Googleが提供するAndroidアプリケーション開発用公式IDE「Android Studio」は、これら3つのプログラミング言語全てでの開発が可能だ。Android Studioは、開発ツールベンダーJetBrainsが提供するJava向けIDE「IntelliJ IDEA」をベースにしている。Androidでのアプリケーションの挙動を再現するエミュレーター、ソースコード共有サービス「GitHub」との連携、アプリケーション公開などの機能を備える。
iOS搭載デバイスはAppleが製造、提供しており、各デバイスのiOSのバージョンを一元的に管理している。このことはアプリケーションのセキュリティを向上させたり、新機能を追加したりしやすいというメリットをもたらす。
代表的なiOSアプリケーションのプログラミング言語に「Swift」「Objective-C」がある。SwiftはObjective-Cよりも新しい。Appleは開発者向けに、
を提供している。JetBrainsが提供するiOSアプリケーション開発用IDE「AppCode」では、SwiftとObjective-Cによる開発が可能だ。
iOSとAndroidのどちらでも使用できるハイブリッドアプリケーションを開発する利点は、ベースになるソースコードを1度書くだけで済むことだ。そのため開発期間を短縮しやすい。
ハイブリッドアプリケーション開発には「JavaScript」「C#」などのプログラミング言語を使用する。「Xamarin」「React Native」「Ionic」などの開発ツールや開発用フレームワーク(機能群)も使用可能だ。最小限のソースコードを記述するだけでアプリケーションを開発できるローコード開発ツールの中では、「Zoho Creator」「Quick Base」「OutSystems」がモバイルアプリケーション開発に利用できる。
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