バイデン政権下で巨大IT企業はどうなる【後編】
バイデン政権に「GAFA弱体化」を進める大義名分と覚悟はあるのか?
反トラスト政策の支持者は、バイデン政権への移行とともに巨大IT企業の独占状態が解消されるものと予想する。一方ビジネス視点に立つと、巨大IT企業が弱体化することで米国経済は痛手を受ける可能性がある。
前編「バイデン政権誕生で『GAFAの解体』が進むのか?」、中編「バイデン政権はトランプ政権よりも『GAFA』に“攻撃的”か?」に続き、本稿は米国の反トラスト法(独占禁止法)や関連政策に対する産業界の反応を追う。米民主党のジョー・バイデン氏が次期大統領に選出されたことで、反トラスト政策を支持する勢力は巨大IT企業の独占状態が解消の方向に進むと予想する。一方で巨大IT企業は独占企業ではなく、Google、Apple、Facebook、Amazon.comの大手4社(GAFA)をはじめとする巨大IT企業を弱体化させれば米国の経済が痛手を被りかねないというビジネス寄りの見方もある。
「GAFAは独占企業」という“常識”は本当に正しいのか
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巨大IT企業の市場独占に対する過去の動向
前回の政権交代時に生じた変化
調査会社Constellation Research創業者でIT業界アナリストのR・レイ・ワン氏は「Google、Facebook、Amazon.comが何十億ドルもの広告収入のために、さらには消費者が望まなければ使う必要のない人気無料デジタルサービス提供のために、互いに競争しているのは明らかだ」と話す。
「彼らは独占企業なのか、それとも最有力プレーヤーなのか」とワン氏は問い掛け、「この2つには明らかな違いがある。市場での優位性は正常なビジネスの一部だ」と続ける。「Facebookがソーシャルメディア、Amazon.comが商取引で優位性を発揮しているのは正しいと言える。Googleは検索、AppleはモバイルOS市場で優位性を示している」(ワン氏)
バイデン氏および次期副大統領カマラ・ハリス氏について、ワン氏は「両者がIT業界から受け取った額はあまりに多く、それが反トラスト法に関する発言や政策を緩める可能性がある」との見方を示す。
バイデン氏に対する反トラスト法推進の要望
反トラスト政策を支持する活動家は、バイデン政権の巨大IT企業締め付けに関して楽観的な見方を示す。そうした活動家は、反トラスト法の執行が甘い状態が何十年も続いて今回の結果は遅きに失したと論じ、積極的な反トラスト政策に向けてバイデン氏を促している。
反トラスト法支持団体や消費者団体、プログレッシブ(進歩派)と呼ばれる政治グループなどの33団体は、2020年11月30日(現地時間)に書簡を発表した。バイデン氏に対して、巨大IT企業の影響力を退け、巨大IT企業の幹部やロビー団体、弁護士、コンサルタントを政権から排除するよう要望した。
「最前線にいるわれわれは、そうした捜査が急がれることを望む。Amazon.comとAppleの捜査も進んでいるはずであり、ここでも訴訟が起こされると確信する」。消費者保護団体Public Citizenの競争政策顧問のアレックス・ハーマン氏はそう述べる。ハーマン氏は民主党上院議員メイジー・ヒロノ氏の首席法律顧問を務めた経歴を持つ。
複数の企業に対して大規模な反トラスト訴訟を起こすのは「大変なことであり、リソースを必要とする」とハーマン氏は説明する。だが同氏は「そうした企業を構造的に変えさせる結果を求める」と意気込む。「手っ取り早い解決や手っ取り早い和解は望まない」(同)
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