データの倫理的活用を考える【第3回】
“取りあえずデータ収集”の落とし穴 「警察や検察へのデータ開示」が招く問題
「いつか何かに使うかもしれない」といった考えで、目的が不明瞭なまま集められるだけのデータを取得しようとすることは望ましいことではない。そうした企業は、大きな代償を払うことになる可能性があるからだ。
第2回「『法律に違反しないデータ収集』なら何をしても許されるのか?」は、データ利活用に関するコンプライアンスの問題を整理し、データの倫理的な活用に対する企業の姿勢にばらつきがあることを指摘した。こうした状況に変化を起こし、データを倫理的に活用することに企業が関心を持つようにするには、どうすればよいだろうか。それには大衆の力が必要だ。
「警察や検察へのデータ提供」が招く無視できない問題
コンサルティング企業McKinsey & Companyが2020年4月に公開した消費者調査レポートによると、調査対象者の71%が「許可なく機密データを漏らす企業とは取引を止める」と回答した。金融サービス企業S&P Globalの調査部門S&P Global Market Intelligenceでシニアリサーチアナリストを務めるペイジ・バートリー氏は「企業が消費者との間に信頼関係を築けば、消費は次第に増えていく」と指摘し、消費者との間に信頼関係を築くことの重要性を説く。
企業が十分な保護対策を取ることなくデータを過度に集め、保持する支払わなければならない最も明白な代償の1つが、データ侵害だ。機密データを入手しようとするのは犯罪者だけではない。警察や検察といった法執行機関は個人に関するデータの提出を民間企業に求めており、このデータが当初の想定とは違う方法で使用される恐れがある。
法律事務所Loeb & Loebでプライバシーとセキュリティ、データイノベーションの実践に関するパートナーおよび共同議長を務めるジェシカ・リー氏は、法執行機関による個人データ活用の一例として、遺伝子解析会社から提供を受けた遺伝子データの活用を挙げる。「少なくとも少し前までは『祖先についての情報をより多く集めようとする取り組みが、家族の逮捕につながる恐れがある』と考える消費者はほとんどいなかっただろう」(リー氏)
企業は「法執行機関の要請に応える方法を前もって考えておき、それを顧客に明白に伝え、リスクを理解させる必要がある」とリー氏はアドバイスする。
第4回は、人工知能(AI)技術を扱うに当たって浮上し得るデータ利活用の課題を紹介する。
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