データの倫理的活用を考える【第5回】
Salesforceも「データの倫理的活用」に本腰 原則を現場に落とし込む方法とは?
経営層がデータを倫理的に扱うと決めても、現場にその意図が伝わらなければ意味がない。どのようにすればよいのか。Salesforceをはじめとする先駆的企業の取り組みを基に考える。
連載第4回「『データの倫理的活用なんて当たり前』と自信満々な人ほど危険な理由」は、人工知能(AI)技術や、それを支えるデータの倫理的活用の課題を紹介した。本稿は、いざデータを倫理的に活用しようとしたとき、そのポリシーを現場にどのように浸透させるかを考える。
Salesforceが進める「データ倫理的活用」の気になる中身
CRM(顧客関係管理)大手のSalesforce(salesforce.com)でAI技術の倫理的実践についてのプリンシパルアーキテクトを務めるキャシー・バクスター氏によれば、同社はデータの倫理的活用を目指し、従業員向けのトレーニングプログラムを開始した。同プログラムは、ソフトウェア開発サイクルおいてデータを倫理的に活用できているかどうかを従業員に問い、トレーニングのデータに偏見がないことを調べるものだ。
Salesforceは、最高倫理および人道責任者が統率する「Office of Ethical and Humane Use of Technology」(テクノロジーの倫理的、人道的な利用に関する審議会)も設置した。同社以外にもデータの倫理的な扱いに注意を払っている企業はある。
コンサルティング企業FTI Consultingが2020年3月に発表した調査によると「経営幹部が『データプライバシー』のコンプライアンス問題を理解している」と答えた企業は81%だった。データプライバシーとは、データへのアクセス権限を誰が所有するか、誰がそのアクセス権限を認定するかなどを定めることだ。97%の企業がデータプライバシーへの投資を増額する計画があると答えた。
「倫理的なデータ活用の哲学的原則を、開発者が理解できる実践的な実装ガイドラインに落とし込むことは難しい」。デジタルビジネスコンサルティング企業Publicis Sapientでカスタマーデータプラットフォームのプラクティスリードを務めるマックス・カービー氏はこう語る。
企業が倫理的なデータ活用ポリシーを構築する際、参考になる資料は幾つかある。例えば国際プライバシー専門家協会(IAPP:International Association of Privacy Professionals)によるデータ活用の原則集「FIPPs」(公正情報行動原則:Fair Information Practice Principles)がその一つだ。各資料についてカービー氏は「現時点では特に秀でたものはない」と指摘。「データプライバシーの分野は依然試行錯誤の段階にある」と語る。
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