コンバージドインフラからハイパーコンバージドインフラ(HCI)に移行
ベンダー営業担当の説明は真実か? HCI導入の鉄鋼会社が取った確認方法とは
「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)を導入した鉄鋼会社Harrison Steel CastingsのIT担当者は、HCIベンダーの営業担当者による製品説明の真偽を確かめるべく、ある行動に出た。その行動とは。
鉄鋼メーカーのHarrison Steel Castingsは、一部要素の停止によってシステム全体が止まってしまう「単一障害点」(SPOF)をなくすため、垂直統合型インフラの「コンバージドインフラ」を導入した。そこでHarrison Steelが直面した課題が、運用の煩わしさだ。コンバージドインフラに問題が生じるたびに、同社は複数のベンダーに対処を依頼する必要があった。
ベンダー営業担当者の説明は誇張か真実か? 確認のために取った行動とは
併せて読みたいお薦め記事
「HCI」に関する知識を深める
- 「HCI」はソフトウェアとアプライアンスのどちらを選ぶべきか?
- HCI市場で「HPE×Nutanix」が「Dell EMC×VMware」を追い抜く日
- 「HCIバックアップ」選びの3つの検討事項 標準機能と商用製品の違いは?
知っておきたい製造業のIT活用事例
コンバージドインフラは、複数のベンダーによるハードウェアから構成されている。そのため「問題の発生時、どこにサポートを依頼すればよいのか分からなかった」と、Harrison SteelのITディレクター、シェーン・ロジャーズ氏は語る。
ロジャーズ氏によると、コンバージドインフラの導入によって、Harrison SteelはCPUやメモリ、ストレージといったインフラリソースを十分に確保できた。問題になったのは、「Windows Server」搭載のノード(ラック内サーバ)を集約したクラスタで、頻繁にメモリの空き領域が減っていくことだったという。
こうした中、2019年の前半にHarrison SteelはScale Computingの「HC3」を導入した。HC3は、複数ノードの内蔵ストレージを1つの共有ストレージとして利用する垂直統合型インフラ「ハイパーコンバージドインフラ」(HCI)だ。HC3導入とともに、Harrison SteelはコンバージドインフラからHC3へのデータ移行を開始した。
ある見本市で、ロジャーズ氏は出展者にScale Computing製品を紹介してもらった。だがHarrison Steelにとって使いものになるかどうかについて、最初は懐疑的だったという。Scale Computingの拠点は、ロジャーズ氏の勤務地からわずか約1時間のところにあるインディアナポリス市内だ。同氏はScale Computingを訪問し、エンジニアとサポートスタッフから直接詳細を聞くことにした。
IT選定担当者がベンダーの営業担当者の話を聞いて「この製品は自社のニーズに合いそうだ」と判断しても、導入を前提とした打ち合わせで詳細を聞くと、実際はそうではないことに気付く――といった話はよくある。ロジャーズ氏は「Scale Computingの製品も同じだろう」と考えていた。だが実際に同社を訪問して製品を確認すると「営業担当者の言っていた通り、設定と管理が非常に簡単だった」と同氏は振り返る。
Harrison Steelは農業やエネルギー、軍事、鉱業向けの炭素鋼鋳鋼品を生産している。重機メーカーのCaterpillarと小松製作所(コマツ)の2社が主要顧客だ。Harrison Steelはコンバージドインフラからの移行先を選定する際、運用の安定性に加えて、ストレージ容量の大きさも重視した。同社が導入したHC3のクラスタは3つのノードから構成され、9TBのストレージと120GBのメモリを備える。同社はこのクラスタで、バックオフィスの基幹業務アプリケーション用のWebアプリケーションサーバを稼働させている。
HCIで「複数ベンダー問題」を解決
以前にHarrison Steelが利用していたコンバージドインフラは、複数ベンダーのサーバやストレージ、ネットワーク機器などを組み合わせたパッケージだ。そのため「複数ベンダー問題」につながりやすい。それに対してHC3などのHCIは、CPUやメモリ、ストレージ、ネットワークといったインフラリソースと仮想化ソフトウェアを単一の機器に集約するのが特徴だ。製品に問題が発生しても、ユーザー企業はベンダー1社とのやりとりで解決できる。
ロジャーズ氏はHC3を選定する前に、Dell EMCとHewlett Packard Enterprise(HPE)のHCIも検討した。HC3を選んだのは「ストレージ容量に加え、処理速度や冗長性、使いやすさにも優れていると考えたからだ」と同氏は説明する。
Scale Computingは主に中堅企業向けにHC3を設計した。HC3はLinuxベースのオープンソースハイパーバイザー「KVM」を搭載する。VMwareのサーバ仮想化ソフトウェア「vSphere」の動作は保証対象外だ。
継続的にHCIシステムの拡張に取り組む
Harrison SteelはWindows ServerベースシステムのインフラとしてHC3を全面的に採用している。HC3で稼働させているシステムは、データベース管理システム「SQL Server」やディレクトリサーバ「Active Directory」(AD)などだ。
1906年から事業を継続しているHarrison Steelは、長年にわたり大量のデータを蓄積してきた。過去のプロジェクトの図面や関連情報を保存するため、HC3とは別にSAN(ストレージエリアネットワーク)も運用している。
データのバックアップ手段として、Harrison SteelはBarracuda Networksのクラウドストレージも導入した。それまでは磁気テープにバックアップして社外に保管していた。現在は、約26TBのデータをクラウドストレージにバックアップしているという。同社はノードを追加することによって「HC3の拡張を継続する」とロジャーズ氏は述べる。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー