狙われるコミュニケーションツール【前編】
「Discord」「Slack」が攻撃者に悪用され始めた“納得の理由”
セキュリティ研究機関の報告書によると、新型コロナウイルス感染症の拡大の中で、「Discord」「Slack」などのコミュニケーションツールの悪用が目立ち始めている。なぜ狙われるのか。攻撃手法はどう変化したのか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)に便乗して、コミュニケーションツールを悪用した攻撃が活発になっている。Cisco Systemsのセキュリティ研究機関Cisco Talosが2021年4月に公開した報告書によると、パンデミックが始まって以来、ゲーマー向けボイスチャットツールの「Discord」やビジネスチャットツールの「Slack」といったコミュニケーションツールを利用した攻撃が目立ち始めている。テレワークへの一斉切り替えと同時に、業務遂行のためにコミュニケーションツールへの依存度が高まったことを同報告書は背景に挙げる。
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COVID-19が与える影響
「Discord」「Slack」などのコミュニケーションツールが悪用される“あの理由”
Cisco Talosは、パンデミックが続く中で、複数の攻撃者集団が新しい働き方に合わせて戦術や手口を変えたと推測する。目的はマルウェアの送り込み、情報窃取、標的デバイスの乗っ取りなどだ。攻撃者集団は以下のマルウェアを用いる。
- リモートアクセス型トロイの木馬(RAT)
- 特定の条件下で攻撃活動を実行するマルウェア「トロイの木馬」のうち、侵入したデバイスをリモートで操作できるようにするもの
- モノのインターネット(IoT)デバイスを攻撃するマルウェア
「コミュニケーションツールが普及して『正規のITインフラ』になれば、攻撃者はそれを悪用するようになる」と報告書は指摘する。攻撃者は標的のエンドユーザーにコミュニケーションツールを使わせたりインストールさせたりする必要はなく、コミュニケーションツールにアップロードした悪質なファイルへのリンクをメールで送信するだけで済む。
報告書を手掛けたCisco Talosの研究者ニック・ビアシニ氏によると、同研究機関が観測した攻撃活動の圧倒的多数は2020年後半から2021年春までの間に発生した。パンデミック以前も、コミュニケーションツールは非常に低レベルかつ低頻度で悪用されていた可能性があるとビアシニ氏は指摘。これまではコミュニケーションツールが十分に普及していなかったため、今日目の当たりにするほど重大な被害は見られなかったと説明する。ただし今は、こうしたコミュニケーションツールの悪用が「横行している」と同氏はみる。
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