テレワークのメリットを引き出す従業員管理法【後編】
保険ブローカーが実現、社員が「企業に監視してほしい」と思う仕組みとは?
従業員の生産性監視ツールは決して悪ではなく、うまく使えば企業と従業員双方にメリットをもたらす。どのような使い方をすればよいのか。米国の保険ブローカーYork International Agencyの成功例から学ぶ。
中編「Microsoft『生産性スコア』も批判の的に 『社員の生産性監視』は是か非か」は、テレワークにおける従業員の生産性管理の注意点を整理した。ベンダーが自社製品に従業員の生産性監視機能を実装することは、エンドユーザーの嫌悪感を招きやすい。一方で企業によっては、従業員の生産性監視ツールをうまく活用し、企業だけでなく従業員もメリットを得ているところもある。
社員が企業に「監視されてもよい」と考える“あの理由”
実際、全てのベンダーが従業員の生産性監視に消極的なわけではない。Birch Grove Software(ActivTrakの名称で事業展開)やTeramindなどのベンダーは、従業員が1日のうち何時間を業務活動に費やしたかを明らかにするソフトウェアを販売している。ActivTrakのCEO、リタ・セルヴァッジ氏によると、業務関連のアプリケーションやWebサイトに費やした時間などの行動データは、企業が業務運営を改善するのに役立つ。「仕事の経過を目に見えるようにすることで、従業員も管理職も『生産性の高い仕事をしている』という満足感が得られる」とセリヴァッジ氏は話す。
York International Agencyで最高管理責任者(CAO)を務めるマイレス・ブロック氏は、ActivTrakの同名の労働力分析ソフトウェアを使って従業員を見守っている。同社はActivTrakを活用して従業員の業務状況を可視化し、生産性が高い従業員は誰なのか、その従業員がどのような働き方をしているのかを、会社全体で共有できるようにした。
米ニューヨーク州ハリソンに拠点を置く保険ブローカーである同社はActivTrakを導入する際、従業員から反発を受けなかったという。むしろ従業員によっては、深夜に仕事をしていることが認められるよう勤務時間の追跡時間を延長してほしいと考えている。「誰もが良い仕事をしたいと考えている。責任ある従業員は、1日の終わりに『責任を果たした』と感じたいと思っている」(ブロック氏)
それでも、企業は従業員の生産性監視ツールを「慎重に使わなくてはいけない」とブロック氏は述べる。「常に監視する」形式でツールを使うのは適切ではない。そうではなく、課題が生じたときに問題点を見極めるために使うべきだ。
テレワークスタッフを監督する際に、従業員の生産性監視ツールから得られる情報だけでは不十分だというのが、ブロック氏の見方だ。こうしたツールで使われているアルゴリズムを管理者の仕事に置き換えられると考える人は、「ツールの使い方を間違っている」と同氏は指摘する。
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