「生産性測定」の難しさ【後編】
テレワークの生産性測定に「AI」を生かす意味と、「監視だ」と警戒されないこつ
企業は何らかの方法でテレワーク中の従業員の生産性を測定する必要がある。そのための手段はどう進化しているのか。従業員との信頼関係を維持しながら生産性を測定するための心構えとは。
前編「Microsoft『生産性スコア』はなぜ批判された? テレワーク可視化の利点と課題」は、テレワーク時の生産性の測定が企業の管理者にどのような情報をもたらすかを紹介した。生産性の測定はプライバシーを脅かす可能性を除外できない限り、従業員の信頼を得るのは難しい。
「AI」を生産性測定に生かす
併せて読みたいお薦め記事
コラボレーションツールが会議室を変える
Web会議の録画データとプライバシー問題
従業員の生産性を測定し続けるための具体的な基準は、企業によって異なる。調査会社Metrigyのアナリストであるアーウィン・レイザー氏は「企業は自社にとって意味のある基準を見極めて、決定する必要がある」と指摘する。企業は社内の役職や人材に基づいて基準を検討する必要がある。こうした基準を基に集計情報を評価できる「生産性モニタリングツール」の使用が選択肢となる。
レイザー氏によると、測定基準を検討する際は、従業員のデータやプライバシーをどう保護するかについても考える必要がある。分析ツールを使って仕事ぶりや生産性を測定する場合、そのデータが安全に保管され、そのデータにアクセスできる人物を管理し、流出した場合の対策を確立するよう徹底しなければならない。企業は生産性モニタリングツールのベンダーに、データを守り悪用を防ぐためにどのような対策をしているかについて質問する必要がある。
人工知能(AI)技術を使った分析を従業員の生産性測定に活用するのも一つの方法だ。コンタクトセンターは担当者のコミュニケーション分析にAI技術を活用してきた。例えば感情分析は、自然言語処理を使って会話の中の感情の動きを見極める。
感情分析の技術はコンタクトセンター向け製品に広く普及している。「こうした機能は他の業種業態でも活用できる」とレイザー氏は話す。例えばコミュニケーションベンダーのRingCentralは2020年12月に、音声分析向けのAI技術を開発するDeepAffectsの買収を発表した。RingCentralはDeepAffectsの技術を同社のWeb会議ツールに組み込み、感情分析や複数発言者の識別、音声認識などの機能を追加する計画だ。
AI技術を利用すれば、一般的な音声会議やWeb会議のツールは記録しない声の高ぶりやストレス反応といった情報も把握できるようになる。
結局は信頼が全て
雇用主は正当な理由でテレワーク中の従業員の実績を知る必要があり、知る権利がある。ただしアーノルド氏は「単なるデータ以上のものに目を向ける必要がある」と話す。「何もかもコミュニケーションツールを通じてフィルターにかけないといけないという考えに入り込むと、それが仕事の世界を定義付けると思い込みやすい」と同氏は指摘。「会議や文書共有、共同閲覧が仕事の全てではない」と注意を促す。
コミュニケーションツールや生産性向上のためのツールを最大限に活用する方法は、あらゆる人の意見を聞き、広く普及させることだ。例えば「従業員がどんなツールをどう使うか」という疑問に関してバランスの取れた視点を持つために、企業のリーダーやオフィス勤務の従業員、在宅勤務の従業員で構成された諮問委員会を創設する手段がある。
アーノルド氏は「企業が選んだコミュニケーションツールが効果を発揮するためには、まず従業員に使ってもらう必要がある」と指摘する。なぜなら代わりのツールはいくらでもあるからだ。「『企業が選んだコミュニケーションツールを使うと、自分のあらゆる動きが上司に監視される』と感じたら、従業員は代わりのツールを見つけようとするだろう」(同氏)
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品レビュー
「電子帳簿保存法対応」実践術:タイムスタンプ付与などの要件の手軽な実現方法 -
事例
「大企業のデジタル化」成功事例集【コクヨ、九州電力、ヨネックスなど21社】 -
製品資料
“顧客管理の課題”を簡単に解決する方法とは? -
製品資料
契約管理の“あるある課題”をノーコード開発で解決するためのポイント -
製品資料
揺らぐ境界防御 いま企業が特に警戒すべき「3つのセキュリティ課題」とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
2
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
継続利用は4割どまり M365 Copilotが「効く業務」と期待外れの境界
-
6
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
7
PCリプレース時には注意 不完全なデータ消去が情報漏えいのリスクに
-
8
「即戦力」は幻想? 中途の3割が消えるAI時代のエンジニア生存戦略
-
9
画面をティッシュで拭くのはNG Dellが推奨するPCの正しいお手入れ方法
-
10
「OSの選定・導入」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
4
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
8
AIエージェントで成果は出る? 調査結果に見る費用対効果の実態
-
9
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
10
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー