「教員も学習者も、まずは知識を」と専門家
島内公立5校がサイバー攻撃でITシステム一斉停止 自治体はどう対処したのか
英国のアングルシー島にある5つの公立学校がサイバー攻撃を受け、各校の全ITシステムを停止した。アングルシー州はこの事態にどう向き合い、どう対処したのか。
英国ウェールズ北西部に位置するアングルシー島の州議会は、サイバー攻撃を受けた後、同島のコンプリヘンシブスクール(主に11歳~18歳の学習者が学ぶ公立の総合制中等学校)5校全てのITシステムを停止せざるを得なくなった。同州議会はこのサイバー攻撃にどう対処したのか。
教育機関は、どう備えればよいか
アングルシー州議会はサイバー攻撃を封じ込めるため、メールシステムを含む影響を受けたシステム全てを一時的に無効にした。攻撃の影響を受けたコンプリヘンシブスクールは、
- Ysgol Syr Thomas Jones
- Ysgol Uwchradd Bodedern
- Ysgol Gyfun Llangefni
- Ysgol David Hughes
- Ysgol Uwchradd Caergybi
の5校だ。同州議会によれば、今回のサイバー攻撃の一環として、各校のシステムに保存されていた個人データの一部が漏えいした恐れがある。
2021年6月23日(現地時間)、アングルシー州議会の事務総長を務めるアニュウェン・モーガン氏は今回のサイバー攻撃を検知した。その後「即座に専門の調査チームを招集した」とモーガン氏は話す。アングルシー州は、問題解決のために英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)からの支援を受けている。
モーガン氏は、コンプリヘンシブスクールのシステム復旧のため、攻撃の影響を受けなかったシステムも停止する可能性があると話す。「今後数週間にわたって教育機関には何らかの混乱が生じる恐れが大きい」(モーガン氏)
アングルシー州議会は今後、支援組織と緊密な連携を取って島内コンプリヘンシブスクールのシステム復旧を支援する。現時点で個人情報などのデータに対する侵害は確認していないが、「英国個人情報保護監督機関(ICO)もこの攻撃を認識している」とモーガン氏は説明する。
2021年5月下旬~6月上旬、NCSCは英国の教育部門に対する複数のランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃を調査し、教育機関向けの新たな手引きを発行した。また同センターが提供する「Early Warning」(早期警戒)サービスへの登録を教育機関に強く促している。Early Warningは自組織のIT資産に関する情報を登録した企業や教育機関に、NCSCが検知した脅威を通知する無料サービスだ。
行動セキュリティサービスを提供するCybSafeのCEO兼創設者であるオズ・アラシエ氏は、「ここ1年で教育機関に対するサイバー攻撃が非常に増えている」と話す。こうした攻撃は教育機関の授業に影響を与えたり、財務記録データを侵害したり、学習者が受けた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査に関するデータを侵害したりする可能性がある。1つの教育機関がサイバー攻撃を受けた結果、地域の教育機関全体に影響が広がる可能性があるとアラシエ氏は指摘する。
アラシエ氏は今回のサイバー攻撃を「教育機関や自身を守るために必要な知識を身に付ける重要性を、教員や学習者にはっきりと認識させる事件だ」と語る。同氏によれば、フィッシング(詐欺)攻撃は学習者の自然な好奇心に付け込む傾向があり、学習者は疑わしいリンクをクリックすることや不審なメッセージに返信することの脅威を認識していない可能性がある。教育機関は教育を通じて、潜在的なサイバー攻撃の脅威を学習者に伝えることが必要だ。その上で「データ侵害を防ぐために、必要なツールや仕組みを用意することは不可欠だ」と同氏は語る。
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