「OTシステム」を狙った攻撃の脅威【中編】
Gartnerが推奨する「OTシステム」のセキュリティ対策“最重要ポイント”とは
Gartnerの報告書は、OTシステムへの攻撃に警鐘を鳴らしている。どのような対策を講じるべきなのか。こうした攻撃が目立つようになった背景と共に説明する。
調査会社Gartnerは、OT(制御技術)システムを脅かす攻撃への警鐘を鳴らす報告書「Reduce Risk to Human Life by Implementing this OT Security Control Framework」を公開した。OTシステムに対する攻撃の動向や危険性は、前編「産業用システムが“殺人兵器”に Gartnerが明かす『「OT」が危険化する理由』」が紹介した通りだ。
OTシステムのセキュリティを確保するために必要なこと
報告書は、OTシステムの安全を確保するために10種のセキュリティ対策を実装することを推奨する。具体的には以下がある。
- 役割と責任の適切な定義
- 適切な従業員トレーニングとセキュリティへの理解
- 適切なバックアップの作成
- 最新のアセットインベントリ(保有資産の一覧)の作成
- ログ収集と脅威のリアルタイム検出
- パッチ適用プロセスの整備
- 適切なネットワークセグメンテーション(小規模ネットワークへの分割)
他にも報告書は、リスク管理者が置くべき焦点を「機密性、整合性、可用性の確保」から、「OTシステムのセキュリティを確保する仕組みの実装」に移す必要があると提言する。
Gartnerが明かすOTセキュリティの“最重要ポイント”
Gartnerのリサーチ担当シニアディレクターであるワム・ボスター氏は、報告書が訴える最重要ポイントは「ネットワークセグメンテーションの必要性」だと説明する。ITシステムとOTシステムがそれぞれ所属するネットワークを明確に分離することは、攻撃対象領域を小さくすることにつながる。
かつてITシステムとOTシステムは完全に別個のシステムで、物理的にも論理的にもお互いが接続していない状態だった。だが近年「両者がネットワークを介してつながりつつある」とボスター氏は説明する。
ボスター氏によると、最近はオフィスにいる従業員が、生産予測の達成状況や稼働時間など、工場のさまざまな状況を知りたいと考えるようになった。そこでOTシステムから情報を得ようとし始めた。
例えばOTシステムには材料のタンク残量を測定するセンサーがある。タンク残量が空に近くなったことをセンサーが示したら、担当者はベンダーに材料を注文しなければならない。この「センサーの値を見て材料を注文する」という一連の作業を自動化したい場合、「SAP ERP」などのERP(統合業務)システムで自動補充注文できる。だがERPシステムに「残量が終わりに近い」と人手で伝えなければならないため、作業が増えることになる。
産業用セキュリティベンダーDragosが発表した報告書「ICS Cybersecurity Year in Review 2020」も、OTシステムへの攻撃の増加を取り上げている。米国土安全保障省は2021年7月、米国の石油パイプライン事業者Colonial Pipelineが攻撃を受けた後、パイプライン事業者に関するセキュリティ要件を発表した。この要件は、ランサムウェア攻撃などITシステムとOTシステム両方に対する脅威の緩和策の実装を、パイプライン事業者に義務付けるものだ。
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