ダウンタイム対策としての「レジリエンス」【後編】
「レジリエンス」を高めてダウンタイムコストを最小限に抑える方法
計画外のダウンタイム発生に備えて、最も重要なシステムのレジリエンスを高めることで、損失を最小限に抑えられる可能性がある。どう取り組めばよいのか。
計画外のダウンタイム(システムの停止時間)が発生すると、企業は適切な次善策を講じる余裕がないまま、金銭以外にも生産性の低下やブランド毀損(きそん)などのコスト負担を強いられる恐れがある。自社の最も重要なシステムの「レジリエンス」(障害発生時の回復力)を高めることは、ダウンタイムコストの最小化につながる。
レジリエンスをシステムの構築・運用計画に組み込むには「多大なコストがかかる」と、調査会社Info-Tech Research Groupのインフラリサーチアドバイザーを務めるフランク・トロバト氏は説明する。そのためIT担当者はまず「どのシステムが自社に最も大きなインパクトを与えるか」について、ビジネスリーダーから知見を得る必要があるとトロバト氏はアドバイスする。
前編「『ダウンタイム』が招くコストを正確に見積もる方法」に続く後編となる本稿は、計画外ダウンタイムのコストを最小化する方法と、コスト計算の勘所について、専門家の見解を紹介する。
ダウンタイムコストを軽減する「レジリエンス」の高め方
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災害復旧(DR)計画のポイント
レジリエンス計画が必要な理由
優先して対策すべきシステムの順位が決まったら、IT担当者は技術的にレジリエンスを高める手段を選定する。選択肢は幾つかある。トロバト氏によると、
- 同じシステムを同時に複数稼働させるアクティブ-アクティブ構成の構築
- クラウドサービスへのシステム移行
- フェイルオーバー(稼働系から待機系への切り替え)を高速に実行する災害復旧(DR)クラウドサービスの活用
が効果的な手段だ。障害が発生したシステムの復旧にIT担当者が取り組んでいる間、企業が業務プロセスの変更によって基幹サービスを機能させ続ける次善策もある。
例えば医療機関ならば、紙ベースの患者データ処理に戻るという手がある。ただし「これは理想的なやり方ではない」とトロバト氏は注意を促す。手動でデータを共有する必要があるからだ。
“厳密なコスト計算”は、実は「厳密」ではない
トロバト氏は「ダウンタイムコストを厳密に見積もろうとしても、徒労に終わる」と指摘する。売り上げへの影響は、インシデントの発生時期や、ダウンタイムの停止時間の長さによって変わってくる。評判への影響といったソフトコストの見積もりは、精度がもっと低くなってしまう。
これに対し、対策計画の立案者が、潜在的な影響を「高」「中」「低」に分類するための概算コストを見積もることは可能だ。「レジリエンスの実現に向けて、まずどこに投資すべきかの優先順位付けを開始するには、実はこの概算見積もりしか必要ない」とトロバト氏は説明する。
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