競争力を高める「スキルアップ」と「リスキリング」【第4回】
「ロボットの同僚」と協働できる社員をどう育てるか
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、業務自動化技術の導入を後押ししている。「ロボットの同僚」と共に働く機会は今後増える可能性がある。ロボットと協働できる人材をどう育てればいいか。
第3回「LinkedInが明かす『競争優位性が高い企業』の条件とは?」は、従業員のスキルを高める「スキルアップ」と、従業員に新たなスキルを身に着けてもらう「リスキリング」を、企業の人材開発(L&D)部門担当者がどう捉えているかを解説した。第4回は、導入が進む業務自動化技術や人工知能(AI)技術と人間が共存するためにはどうすればいいかを解説する。
「ロボットの同僚」と協働できる従業員とは
従業員のスキルアップを目指す施策を実施するとき、企業が重点を置くべきは、従業員がより良い方法、より新しい方法で現在の仕事をできるようにすることだ。一方でリスキリングでは、全く異なる仕事ができるように従業員を訓練する。
今後従業員は、「リーダーシップ」「戦略」「ITスキル」など、マネジメントスキルとITスキルを組み合わせたスキルセットを身に付けることが理想的だと話すのは、プロジェクトマネジメントの専門家団体Project Management Instituteで最高執行責任者(COO)を務めるマイケル・デプリスコ氏だ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の影響でAI技術や業務自動化技術の導入が加速し、業務環境が急速に変化を遂げた企業もある。そうした企業では、業務の本質が変わり、求められるスキルセットも変化している。
世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)のレポートは、パンデミックによって急速に自動化が加速するとともに、経済の不確実性も高まり、そのことが人間と業務自動化技術の分業を促すと指摘。その結果、2025年までに8500万人の雇用が失われ、9700万人の新しい雇用が創出されると予測する。こうした変化に応じて、現在の労働力にどのような業務を担ってもらうかを考えることが、今後の企業にとって一大事業になる。
従業員のスキルアップとリスキリングの施策を検討するとき、企業は業務自動化技術を活用した「ロボットの同僚」が新しく作業に携わることを考慮に入れる必要がある。近い将来、企業が成功を収めるためには「人間の労働者が“デジタルワーカー”と同化する必要がある」と、コンサルティング会社Deloitte ConsultingでLearning Consulting業務を率いるマイケル・グリフィス氏は話す。先進的なビジネスリーダーは人手と技術を組み合わせて仕事を再考した「『スーパーチーム』を構築している」(グリフィス氏)。
グリフィス氏は「かつては業務自動化ツールの一部としてしか見られていなかったAI技術は今や、人間の能力を強化するために利用されている」と指摘する。この新しい構造では、心の知能指数(EQ)や創造性、リーダーシップ、クリティカルシンキングといった人間の労働者固有のスキルがより重要になる。こうして人間とロボットの同僚がペアを組むに当たって、事業部門と人事部門のリーダーはスキルアップとリスキリングの戦略を慎重に考え直す必要がある。
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