「Windows 11」システム要件の謎【後編】
「Windows 11」への早急な移行をやめるべき“納得の理由”
企業にとっての「Windows 11」のメリットはセキュリティ機能だとMicrosoftは説明している。だが同様の機能は既に利用可能だ。焦ってWindowsに移行する必要はない理由とは。
Microsoftは企業にとっての「Windows 11」の最大のメリットはセキュリティだと述べている。多要素認証(MFA)、ハードウェアレベルの分離、セキュリティチップ「TPM」(Trusted Platform Module)などのセキュリティ設定が、同OSでは既定でオンになるという。
企業のIT担当者は、こうしたセキュリティ設定を現状でもオンにすることができる。だがポッドキャスト「Business of Tech」を運営するITアナリストのデビッド・ソーベル氏は「実際にオンにしている人は多くない」と指摘する。Microsoftによると、MFAを有効にしている企業は約18%にとどまる。
こうした事情を加味すると、問題はWindowsのセキュリティ機能の不足ではない。「問題は企業がそれらの機能を十分に使っていないことにある」(ソーベル氏)
「Windows 10」から「Windows 11」へ早急に移行してはいけない理由
Microsoftは「Windows 11はIT管理者の作業を非常に容易にする」と述べているが、「Windows 10と大きくは異ならない」とも述べている。Windows 11へのアップグレードは、Windows 10に機能更新プログラムを適用するようなものだという。
PCの管理プロセスが変わらないことは企業のIT部門にとってメリットになる。「スタッフの再トレーニングやプロセスの見直しでコストがかかるのは、企業としては避けたいはずだ」とソーベル氏は語る。
一方で調査会社Gartnerのアナリスト、スティーブ・クレイナンズ氏は次のように述べる。「Windows 11における変更は緩やかだ。企業は新OSに急いでアップグレードする必要はない」
Windows 11への本格移行期は
クレイナンズ氏によると、企業はWindows 11のシステム要件もあまり気にする必要はない。企業はおおむね5年程度でPCを入れ替えている。Windows 10の更新プログラムの配布が終了する2025年までに、企業はWindows 11のシステム要件を満たすPCに交換していると考えるのが自然だ。同氏は企業がWindows 11を本格的に導入するのは2023年以降になるとみている。
Microsoftは、2021年中にWindows 10の機能更新プログラム「Windows 10 バージョン21H2」を配布することも明らかにしている。このバージョンは無線LANのセキュリティ規格「WPA3 H2E」(H2E:Hash-to-Element)を追加する。同社はこれ以降のWindows 10の更新については明らかにしていない。
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