独の学校で「Microsoft 365」使用禁止、なぜ?【第5回】
「ドイツの学校でMicrosoft 365が使えない問題」は解消するのか、しないのか
ドイツが教育機関での使用を禁止した「Microsoft 365」。解禁はあり得るのか。Microsoft 365の機能を求める教育機関は、どうすればいいのか。
サブスクリプション形式でMicrosoftが提供するオフィススイート「Microsoft 365」(Office 365)の、ドイツの教育機関での使用禁止を巡り、欧州と米国の間の溝が深まっている。この問題で一番困るのは、IT化に取り組んでいる教育現場だ。セキュリティ専門家の見解とは。
「ドイツの学校でMicrosoft 365解禁」はあるのか
併せて読みたいお薦め記事
連載:独の学校で「Microsoft 365」使用禁止、なぜ?
- 第1回:ドイツの学校では「Microsoft 365」が“使用禁止”に その理由は?
- 第2回:ドイツ当局が「Microsoft 365」から“あの国”へのデータ流出を懸念か
- 第3回:「学校でのMicrosoft 365禁止」を回避しようとしたドイツ なぜ駄目だった?
- 第4回:ドイツ当局は誤解している――学校でのMicrosoft 365禁止にMicrosoftが反論
教育現場でのIT活用
Microsoftはドイツデータ保護会議(DSK:ドイツ連邦と16州のデータ保護監督機関で構成される調整機関)に対し、Microsoftが2022年に打ち出した「EUデータ境界」が、欧州連合(EU)から他国へのデータ転送の大幅削減につながると説明している。EUデータ境界とは、EU市民の個人データをEU域内にあるデータセンターのみに保存する、Microsoftの取り組みの総称だ。
DSKの報告書の公開を受け、ドイツ連邦データ保護監督機関のコミッショナー(最高責任者)を務めるウルリッヒ・ケルバー氏は、「Microsoft 365のデータ処理に関して部分的な改善はあった」と述べる。ただしドイツの教育機関が注視するプライバシーの観点から「さまざまな課題が残っており、データ保護のさらなる強化なしには教育機関での使用が考えにくい」とケルバー氏は言う。
セキュリティベンダーTutanotaの創設者であるマティアス・ファウ氏は、「2018年の『一般データ保護規則』(GDPR:EUの個人情報保護規則)導入から4年以上経過した」と指摘。Microsoftをはじめとする、米国に本拠を置くクラウドサービス事業者が、EU市民のデータ権を侵害していることは「信じられない」と述べる。
ファウ氏によれば、米国の大手クラウドサービス事業者には「ユーザーが自社のサービスを利用するなら、自社もユーザーのデータを利用する」という考えが浸透している。そのため、ユーザーからの苦情や当局からの罰則があっても、ユーザーのデータ利用はやめないというのが、同氏の見方だ。教育機関をはじめとした公共施設は、Microsoft 365の代替ツールとしてオープンソースソフトウェア(OSS)を使えば、データ保護の強化を図れるとファウ氏は語る。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発特有の課題も解消できる「AI活用」の秘訣とは? -
製品資料
[株式会社スタディスト] 食品ロスを解消して“利益の創出”を実現、その第一歩は何から始める? -
製品資料
[株式会社スタディスト] 段取り替え時間に差が生まれるのはなぜ? 作業を標準化する仕組み作りのコツ -
技術文書・技術解説
[Datadog Japan合同会社] 開発と運用の人員格差をどう埋める? DevOpsを実現するための実践ポイント -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] たった1回でサプライチェーンが破滅することも メール誤送信を確実に防ぐには
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
4
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
5
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
6
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
7
「サイバー犯罪株式会社」に潜入 現地調査で判明した“犯罪者求人”の実態
-
8
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
9
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「セキュリティ」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
8
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
9
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
10
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー