ドイツが教育機関での「Microsoft 365」の使用を禁止したことに関して、Microsoftはドイツ当局の判断に「誤解がある」と主張する。同社はどう動き、何を主張しているのか。
ドイツ連邦と16州のデータ保護監督機関で構成されるドイツデータ保護会議(DSK)は、Microsoftのサブスクリプション形式のオフィススイート「Microsoft 365」(Office 365)を、ドイツの教育機関で使用することを禁止した。これに対し、Microsoftは何を主張しているのか。
Microsoftは、ユーザーのプライバシーを侵害することなく、ドイツの教育機関でMicrosoft 365を使用することは「可能だ」と主張している。Microsoft 365は「『一般データ保護規則』(GDPR:欧州連合の個人情報保護規則)の厳しい条件を満たすだけではなく、しばしばそれを上回る」と同社は説明する。DSKの懸念について同社は、DSKが実施済みのシステム変更が十分に考慮されず、「誤解がある」とみている。
それを背景に、MicrosoftはDSKと緊密に協力し、Microsoft 365の仕様に関して抜本的な変更を実施。DSKから指摘された問題を解決することに注力してきたという。その例として同社は、データ処理の委託先の変更をユーザーに通知する機能の追加や、データ処理の透明性の向上を挙げる。今後もDSKに全面的に協力し、残った懸念に対処したい考えだという。
MicrosoftはMicrosoft 365に関して「データ処理の透明性は、クラウド業界の基準を既に上回っており、さらなる向上を目指す」と述べる。同社は「EUデータ境界」と名付け、EU市民の個人データをEU域内にあるデータセンターのみに保存する取り組みを進めている。その一環として、データ処理の透明性を高めることも目指しているという。それに加え、「EU域外にある委託先やMicrosoft従業員によるデータ処理についても透明性を向上させたい」とMicrosoftは説明する。
データ保護の専門家はMicrosoftが打ち出したEUデータ境界について、「EU市民の個人データがEU域外で日常的に処理されていることを暗黙のうちに認めている」と批判している。
第5回は、セキュリティ専門家はMicrosoft 365を取り巻く今回の問題をどう捉えているかを取り上げる。
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