DDoS攻撃のレンタルサービスが登場し、初心者が容易にサイバー犯罪を実行できるようになった。これを阻止するために、どのような取り締まりが進んでいるのか。
分散型サービス拒否(DDoS)攻撃のレンタルサービス「booter」の登場により、初心者でも容易にサイバー犯罪を実行できるようになった。英国国家犯罪対策庁(NCA)は米連邦捜査局(FBI)やオランダ警察、欧州連合(EU)の法執行機関である欧州刑事警察機構(Europol)と連携し、この問題に対処するための作戦「Operation PowerOFF」を実施した。
2022年12月、FBIはOperation PowerOFFの一環で、booterを提供するWebサイト48個を閉鎖した。これらのWebサイトは、サイバー犯罪者がDDoS攻撃を実行するために利用している疑いがあった。
DDoS攻撃に必要なツールのレンタルサービスやノウハウを提供するWebサイトは、深刻なサイバー犯罪を助長し、世界中のPCに危害を加えている。
サイバー犯罪者間でbooterの匿名性や使いやすさに対する認識が広がったことにより、booterは犯罪初心者にとって魅力的な手段となっている。利用者はアカウントを設定してから数分でDDoS攻撃を仕掛けることができる。つまりフードデリバリーサービスを注文する程度の手軽さで、DDoS攻撃を実行可能だということだ。摘発されたWebサイトは、月額10ドルから2500ドルまで、booterのさまざまなツール一式や会員向けサービスを用意していた。
「booterの使いやすさと匿名性は、技術がほとんどない個人が簡単にサイバー犯罪に手を染めることを可能にした」と、NCAの全英サイバー犯罪対策機関(NCCU)に所属するフランク・タティ氏は警告する。NCAには、個人がサイバー犯罪に関わる事態を阻止するためにサイバー犯罪予防チームが存在する。そのチームにはbooterに関する通報も一定数届くという。
米アラスカ州アンカレジのFBI事務所でOperation PowerOFFを担当する特別捜査官アントニー・ユング氏は、FBIが引き続き国際法執行機関と連携してDDoS攻撃対策を強化し、違反者を取り締まる方針を示す。ユング氏は次のように警告する。「こうしたWebサイトの利用者や管理者は、違法サービスに手を染める前に、一度立ち止まって再考すべきだ」
後編は、booterを阻止するための取り組みを紹介する。
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