「生成AI人気の終わり」に備える【後編】
生成AIの幻滅期で明暗? これからの「勝てる企業」と「負ける企業」の違い
過熱気味だった生成AIブームは収束に向かい、今後は世間の関心が薄れる「幻滅期」が到来するという見方がある。このような厳しい時期を乗り切って成果を出すために、企業にはどのような取り組みが求められるのか。
テキストや画像を生成する人工知能(AI)技術である「生成AI」は、さまざまな分野で革新をもたらすことが期待されている。一方で、生成AIは「万能薬」ではない。企業の過度な期待に生成AIが応えられない現実から、投資が停滞する「幻滅期」の到来も予測される。企業はこの状況をどう捉えるべきなのか。幻滅期を乗り越えて生成AIの価値を最大化するために、企業には何が求められるのか。
幻滅期で明暗? 生成AIで「勝てる企業」と「負ける企業」の違い
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連載:「生成AI人気の終わり」に備える
生成AIを使いこなす方法とは
「生成AIを活用してビジネスの成果を短期間で出すことは容易ではない」。こう話すのは、調査会社Gartnerでアナリストを務めるアルン・チャンドラセカラン氏だ。
生成AIは、マーケティングコンテンツやソースコードの生成といった用途で価値を発揮している。忘れてはならないのが、生成AIは「非決定的」な性質を持つということだ。同じ入力でも異なる出力が得られるため、生成される情報の信頼性にばらつきが生じることがある。「回答精度を高めたり、ハルシネーション(不正確な結果や幻覚)を回避したりする方法はあるものの、まだ改善の途上にある」とチャンドラセカラン氏は話す。
生成AIツールのエコシステムは常に変化している。企業が長期的な計画を策定してツールを導入したとしても、それらはすぐ時代遅れになってしまう可能性がある。AI導入のベストプラクティスも確立されているとは言い難い。
こうした現実と期待値とのギャップにより引き起こされた幻滅期は、すぐに終わる可能性がある。一方で、今後の規制動向や、データ収集や学習に掛かるコストの変動によっては、長引く可能性も否定できない。
企業に求められる「現実的なアプローチ」
企業が幻滅期を乗り切るためは、次のような手法が必要だとチャンドラセカラン氏はアドバイスする。まず、パイロットプロジェクトを容易に拡張できるようなエンジニアリング手法を実践することが重要だ。具体的には以下の通りだ。
- アジャイル思考
- 変化に迅速に対処できる方法でプロジェクトを進める。
- サンドボックス環境
- 新しいアイデアや技術を迅速かつ安全に試すための実験用のスペースを持つ。
- 組み合わせ可能なプラットフォーム
- 異なるシステムやツールを簡単に組み合わせたり、変更したりできるようにする。
- FinOps
- 企業におけるクラウドサービスの財務管理を最適化する手法。クラウドサービス利用の効率化とコスト削減を図る。
- 製品中心のデリバリー(配備)
- 顧客ニーズに沿って製品を開発する。
同様に重要なのが、「責任あるAI」(AI技術の利用や開発において公平性や透明性、安全性の確保を考慮すること)を中心とした考え方だ。「生成AIを導入する際は、人間のフィードバックをどう組み込み、信頼性を強化できるか考えるべきだ」とチャンドラセカラン氏は強調する。
生成AIを取り巻く技術は驚くべきスピードで進化している。「理想と現実のギャップによる幻滅期の到来は避けられないものの、ユースケースの見直しやリスク管理を絶えず実施することで、その影響を最小限に抑えることができる」とチャンドラセカラン氏は話す。
社内の枠を超えた協力体制も重要に
リサーチ企業Everest Groupでパートナーを務めるビシャール・グプタ氏は、「生成AIの成果を最大化するには、慎重なアプローチが必要だ」と話す。データ駆動型の文化の醸成、従業員教育、リスク管理やガバナンス体制の確立を通して、生成AIの受け入れ体制を社内に整備することが重要だ。
ITコンサルティング企業LTIMindtreeでチーフビジネスオフィサーを務めるロヒト・ケディア氏は、「生成AIが急速な進化を遂げる中で、企業には協調的な進め方が求められる」と話す。生成AIの可能性を最大限に引き出すためには、特定の部門やチームだけに依存していてはいけない。パートナー企業や、幅広い部門の従業員、外部の専門家など、さまざまな関係者の知見や視点を組み合わせ、イノベーションを促進する必要がある。「生成AIの価値を引き出すために、企業は新しいやり方に対して常にオープンである必要がある」とケディア氏は話す。
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