LLMのリスク管理を考える【前編】
中国製AI「DeepSeek」に冷や水を浴びせた“生成AIの脆弱性”とは?
突如として話題になった中国製AI「DeepSeek」が市場の関心を集める一方で、セキュリティベンダーが同モデルの脆弱性を指摘している。その具体的なリスクとは。
2025年1月27日、中国のAIベンダーDeepSeekは、大規模言語モデル(LLM)「DeepSeek R1」を発表した。そのコスト効率の高さやオープンソースである点が注目を集め、それまで米国一強だったAI市場の勢力図に変化の兆しが見られるなど、AI市場には一時的に混乱が生じた。
しかし、DeepSeekの発表から数日後、セキュリティベンダーPalo Alto Networksの研究者は、DeepSeek R1に特定の脆弱(ぜいじゃく)性があることを明らかにした。その具体的なリスクとは何なのか。
「DeepSeek」の脆弱性が明らかに 具体的なリスクは?
併せて読みたいお薦め記事
DeepSeekのリスクを考察する
Palo Alto Networksの技術チームは、3つの「ジェイルブレーク」(脱獄)技法がDeepSeekのセーフガードを突破したことを明らかにした。ジェイルブレークとは、特定のプロンプト(情報生成のための質問や指示)を入念に作成したり、脆弱性を悪用したりすることで、LLMが備える防御ルールを回避し、モデルが避けるべき出力(バイアスがかかった出力や有害な出力など)を引き出す技法を指す。
本来、大規模言語モデル(LLM)がマルウェア作成などの不正目的に利用されるのを防ぐべきルールが設定されているが、攻撃者がジェイルブレークを使うことで、容易に回避できてしまう可能性がある。Palo Alto Networksによれば、ジェイルブレークを扱うための専門知識はほとんど、もしくは全く必要なかったという。
実証では、サイバー犯罪者が関心を持つ分野に関する具体的なガイダンスをDeepSeekから引き出したという。これには、データの不正取得や、マルウェアの作成に関する指示が含まれた他、即席爆発装置(IED)の製造方法に関する情報も生成可能であることが確認された。
火炎瓶やマルウェアを作成するための情報はインターネット上で簡単に入手できる。一方で、LLMは簡単に使える実用的な情報を整理して出力することができる。「LLMの安全対策が不十分な場合、悪意あるユーザーの参入障壁を下げ、活動が大幅に加速する恐れがある」と同チームは警告する。
次回は、ジェイルブレークの代表的な手法について詳しく解説する。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国Informa TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社ビザスク] 「新規事業」事例集:大手企業はどのように想定顧客ヒアリングを行っているのか -
市場調査・トレンド
[株式会社ビザスク] 質の高い「仮説検証インタビュー」を実施するためのポイント -
事例
[株式会社ビザスク] 富士フイルムの新領域参入に学ぶ事業創出 「畑違い」でもビジネス化できる方法 -
事例
[株式会社ビザスク] 三菱電機 上席執行役員に学ぶ、未来を切り開く「新事業創出」の実践方法 -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 脆弱性対応のリードタイムと工数を大幅削減、事例に学ぶセキュリティ基盤刷新術
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
3
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
4
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
5
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
8
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
9
「Linux」の脆弱性を生むのは誰か? ベテラン開発者の意外なミス
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
8
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー