Copilot+ PCを2カ月使って分かったこと【第4回】
Arm版Windowsは成功するか? 「Copilot+ PC」を2カ月使ったMacユーザーが語る
MicrosoftがAI PCブランドとして「Copilot+ PC」を打ち出し、「AI PC」市場は大きく動き始めている。「Mac」を15年使ってきたアナリストがDell製Copilot+ PCを2カ月使い続けて感じた3つの気付きとは。
「AI PC」は、AI(人工知能)モデルの処理に特化したプロセッサであるNPU(ニューラル処理装置)を搭載したPCの総称だ。2024年5月にMicrosoftは、Qualcomm Technologies(以下、Qualcomm)と共同でAI PCブランド「Copilot+ PC」の製品群を発表した。
Dell TechnologiesからArmアーキテクチャのプロセッサ(Armプロセッサ)を搭載するCopilot+ PC「Dell XPS 13 9345」を提供してもらった筆者は、15年来の「Mac」ユーザーであることもあり、2カ月間このPCだけを使って徹底評価をすることにした。そうした中で見えてきた、Microsoftやプロセッサ市場、AI PCの今後に関する3つの展望を紹介する。
Copilot+ PCを2カ月使い倒して気付いた3つのこと
併せて読みたいお薦め記事
連載:Copilot+ PCを2カ月使って分かったこと
- 第1回:Mac愛好家が“Arm版Windows”のDell「Copilot+ PC」を使ってみた
- 第2回:Arm版Windowsはもう“悪夢”じゃない? 「Copilot+ PC」の使用感は
- 第3回:AI PCなのに“AI専用チップ”は眠ったまま? 「Copilot+ PC」徹底レビュー
AI PCの展望
原稿執筆時点で筆者が得た気付きは次の3点だ。
1.Arm版Windowsの完成度
MicrosoftとQualcommが2024年5月に発表したCopilot+ PC製品群は、Armプロセッサを搭載している。2012年にMicrosoftがArmプロセッサ搭載PC向けWindowsの実現を試みたときには課題が生じ、成功には至らなかった。
一時的な問題は残っている可能性があるものの、アプリケーションの導入や管理方法は、命令セットアーキテクチャが「x86」や「x64」であるプロセッサ搭載のデバイスとおおむね変わらない。デバイス管理ツール「Microsoft Intune」「Microsoft Configuration Manager」も機能する。細かい調整は必要だが、企業が広くArm版Windowsの導入に成功する未来が見える。
2.プロセッサベンダーの市場争い
組織再編などの動きを見せているIntelに対して、Advanced Micro Devices(AMD)とQualcommが強力な強豪相手として立ちはだかっている。Qualcommについては本連載で説明してきた通りだ。AMDも、データセンターやエンドポイントにおける“Intel依存”からの脱却先として浮上してきた。これまでIntel一筋だった企業でも、AMDに関心を向けるようになったところがある。データセンターやエンドポイントでのAI技術開発に注力しており、市場開拓を進めている点にも注目だ。
3.Microsoftとプロセッサベンダーの関係
Qualcommは、Microsoftから公式の支援と受けるという、Intelがかつて独占していた立場を獲得した。QualcommのSoC(システムオンチップ)「Snapdragon」シリーズは存在感を強めており、Microsoftが2024年5月にQualcommと共同発表したCopilot+ PC製品群にSnapdragonシリーズを搭載したことは象徴的な事実だ。エミュレータ「Prism」の最適化における両者の協力は、Armプロセッサ搭載PC向けWindowsの利用拡大に大きく貢献するものだ。
AI PCによって、かつて停滞していたエンドポイントデバイス市場に新たな活気が生まれている。2025年や2026年にどう進化するのか注目したい。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
3
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
4
IT製品の導入に関するアンケート「セキュリティ」編
-
5
「法人向けPCおよび周辺機器の利用状況」に関するアンケート
-
6
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
7
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
10
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
8
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
9
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
10
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー