盛り上がりを見せるAI PCの真実を知るべく、長年のMacユーザーである筆者が、「Copilot+ PC」である「Dell XPS 13 9345」を2カ月間使い込んだ。良い点もあれば悪い点もある、率直な評価は。
2024年5月、Dell Technologies(以下、Dell)が主催したイベント「Dell Technologies World 2024」において、MicrosoftとQualcomm Technologies(以下、Qualcomm)は両社初の「Copilot+ PC」製品群を共同発表した。Copilot+ PCは、AI(人工知能)技術関連のタスク(AIワークロード)の処理能力を向上させたMicrosoftのPCブランドだ。公開された機種は、プロセッサとしてQualcommのSoC(システムオンチップ)「Snapdragon」シリーズを採用している。
この発表の注目すべき点は、Copilot+ PCというブランドだけではなく、「Windows」をArmアーキテクチャのプロセッサ(Armプロセッサ)で実行することに、Microsoftが本腰を入れたように見える点だ。
筆者は発表されたデバイスを使う機会を得るべくDellに働き掛け、数カ月後に実機を入手できた。だがAppleの「Mac」を15年以上使い続けてきた筆者にとって、Windows搭載デバイスへの移行は容易ではない。そこで単なるテストで終わらせず、2カ月間このデバイスだけを使うという本格的な検証に取り組むことを決めた。
本連載は、Dellから受け取ったノートPC「Dell XPS 13 9345」と、Armプロセッサ搭載PC向けのWindowsを使用した体験に加えて、WindowsとAI PCの展望に対する筆者の考えを紹介する。
Mac以外の新しいPCを手にしたのは10年以上ぶりだ。Dellから提供されたDell XPS 13 9345のスペックを以下に示す。
本連載はWindowsとArmの使用感に重点を置いているが、Dell XPS 13 9345のディスプレイは筆者がこれまで目にしてきた中でも最も美しいディスプレイであることは取り上げておきたい。画面を見る喜びを感じ、タッチスクリーンの感度も申し分ない。原稿執筆時点で、Appleが「MacBook」にタッチスクリーンを搭載していないことを残念に思う。
Dell XPS 13 9345は高級品のある外観で、パームレストのSnapdragonステッカーを除けば最低限の装飾しか施されていない。トラックパッドはパームレストと一体化しており、キーボードには上品なバックライトがある。MacBookのゴム製キーボード(チクレットキーボード)とはやや異なるものの、ラバー質感の柔らかい手触りはすぐになじめる。気になる点としては、右「Ctrl」キーの代わりに「Copilot」キーが配置されているところだ。個人的には「Caps Lock」キーと置き換えてくれた方が良かったのだが。
総合的に見てDell XPS 13 9345は素晴らしい。ただし、比較的小さいながらも個人的には重要だと感じる問題点が2つある。
1つ目は、ファンクションキーが並ぶキーボードの最上列が、物理ボタンではなく静電容量式のタッチパネルである点だ。特にタッチスクリーン使用時は、誤ってファンクションキーをタッチしてしまうことがある。一部のMacBookのキーボード上部にあるタッチスクリーン「Touch Bar」で起きがちな誤操作とは異なるものの、似たような誤操作に悩まされる可能性がある。
2つ目は、ポートとしてUSB-Cポートを2つしか備えていない点だ。1つを電源用に使うため、実質1つのポートでさまざまな機器と接続することになる。ドッキングステーションやUSBハブと併用するのがよさそうだ。
次回は、Armプロセッサ搭載PC向けWindowsに対する評価を紹介する。
米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
DXの推進に伴いクラウドやコンテナなどが浸透し、IT環境は複雑で動的なものに変化した。その中で課題となっているのが、ITモニタリングだ。コストや運用負荷を抑制しつつ、モニタリングを高度化させるために必要なアプローチとは何なのか。
ランサムウェアへの対策が進む一方で、内部脅威への備えは後回しになりがちだ。内部脅威は、深刻な被害をもたらすだけでなく、企業の信頼を損なう可能性もある。どのような対策が有効なのか、本資料で詳しく解説する。
企業のITシステムのクラウド化が進むにつれ、情報システム部門の運用管理負担が増している。しかし、IT人材の不足により、人的リソースの補充は容易ではない。そこで本資料では、AWS運用の負担を軽減する方法を紹介する。
カスタマーサービスのサイロ化、問題解決の長時間化などの課題が顕在化している今、CXを変革する方法として、生成AIと自動化が注目されている。これらを活用することで、顧客満足度や問題解決時間はどう変わるのか、3つの実例から探る。
企業の生産性を向上させるためには、従業員が快適に働ける環境作りが重要になる。そこで参考にしてほしいのが、サイボウズが導入している「PCの従業員選択制」だ。業務用の端末を従業員が自由に選べることによる効果を紹介する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...