Mac愛好家が“Arm版Windows”のDell「Copilot+ PC」を使ってみたCopilot+ PCを2カ月使って分かったこと【第1回】

盛り上がりを見せるAI PCの真実を知るべく、長年のMacユーザーである筆者が、「Copilot+ PC」である「Dell XPS 13 9345」を2カ月間使い込んだ。良い点もあれば悪い点もある、率直な評価は。

2025年02月22日 08時00分 公開
[Gabe KnuthTechTarget]

 2024年5月、Dell Technologies(以下、Dell)が主催したイベント「Dell Technologies World 2024」において、MicrosoftとQualcomm Technologies(以下、Qualcomm)は両社初の「Copilot+ PC」製品群を共同発表した。Copilot+ PCは、AI(人工知能)技術関連のタスク(AIワークロード)の処理能力を向上させたMicrosoftのPCブランドだ。公開された機種は、プロセッサとしてQualcommのSoC(システムオンチップ)「Snapdragon」シリーズを採用している。

 この発表の注目すべき点は、Copilot+ PCというブランドだけではなく、「Windows」をArmアーキテクチャのプロセッサ(Armプロセッサ)で実行することに、Microsoftが本腰を入れたように見える点だ。

 筆者は発表されたデバイスを使う機会を得るべくDellに働き掛け、数カ月後に実機を入手できた。だがAppleの「Mac」を15年以上使い続けてきた筆者にとって、Windows搭載デバイスへの移行は容易ではない。そこで単なるテストで終わらせず、2カ月間このデバイスだけを使うという本格的な検証に取り組むことを決めた。

 本連載は、Dellから受け取ったノートPC「Dell XPS 13 9345」と、Armプロセッサ搭載PC向けのWindowsを使用した体験に加えて、WindowsとAI PCの展望に対する筆者の考えを紹介する。

待望のCopilot+ PCを使ってみた率直な感想

 Mac以外の新しいPCを手にしたのは10年以上ぶりだ。Dellから提供されたDell XPS 13 9345のスペックを以下に示す。

  • Qualcommのプロセッサ「Snapdragon X Elite」
    • CPUコア数12個、最大クロック周波数3.4GHz
  • AIモデルの処理に特化したプロセッサNPU(ニューラル処理装置)
    • 最大45TOPS(1秒当たり45兆回の演算が可能)
  • QualcommのGPU(グラフィックス処理装置)「Adreno」
  • メモリ規格「LPDDR5X」に準拠したRAM
    • 容量32GB
  • 有機EL(OLED)タッチスクリーンディスプレイ
    • 解像度2880×1800ピクセル
  • Windows 11 Pro
    • バージョン24H2のプレビュー版(ビルド番号10.0.26100)

 本連載はWindowsとArmの使用感に重点を置いているが、Dell XPS 13 9345のディスプレイは筆者がこれまで目にしてきた中でも最も美しいディスプレイであることは取り上げておきたい。画面を見る喜びを感じ、タッチスクリーンの感度も申し分ない。原稿執筆時点で、Appleが「MacBook」にタッチスクリーンを搭載していないことを残念に思う。

 Dell XPS 13 9345は高級品のある外観で、パームレストのSnapdragonステッカーを除けば最低限の装飾しか施されていない。トラックパッドはパームレストと一体化しており、キーボードには上品なバックライトがある。MacBookのゴム製キーボード(チクレットキーボード)とはやや異なるものの、ラバー質感の柔らかい手触りはすぐになじめる。気になる点としては、右「Ctrl」キーの代わりに「Copilot」キーが配置されているところだ。個人的には「Caps Lock」キーと置き換えてくれた方が良かったのだが。

 総合的に見てDell XPS 13 9345は素晴らしい。ただし、比較的小さいながらも個人的には重要だと感じる問題点が2つある。

 1つ目は、ファンクションキーが並ぶキーボードの最上列が、物理ボタンではなく静電容量式のタッチパネルである点だ。特にタッチスクリーン使用時は、誤ってファンクションキーをタッチしてしまうことがある。一部のMacBookのキーボード上部にあるタッチスクリーン「Touch Bar」で起きがちな誤操作とは異なるものの、似たような誤操作に悩まされる可能性がある。

 2つ目は、ポートとしてUSB-Cポートを2つしか備えていない点だ。1つを電源用に使うため、実質1つのポートでさまざまな機器と接続することになる。ドッキングステーションやUSBハブと併用するのがよさそうだ。


 次回は、Armプロセッサ搭載PC向けWindowsに対する評価を紹介する。

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