主要な「Linux」ディストリビューションとして、Red Hatの「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)と、SUSEの「SUSE Linux Enterprise Server」(SLES)がある。稼働するアーキテクチャや関連サービスの違いとは。
Red HatとSUSEは、企業向けの「Linux」ディストリビューション(配布パッケージ)を提供するベンダーだ。Red Hatは「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)、SUSEは「SUSE Linux Enterprise Server」(SLES)を提供している。Linuxディストリビューションには共通のコマンド、フォルダ(Linux分野では「ディレクトリ」とも)構造、基本機能がある。その一方で、パッケージ管理ツール、コマンド、プリインストールソフトウェアなどに違いがある。それぞれのディストリビューションと、両社が提供する周辺ツールおよびサービスを、複数の観点から解説しよう。
Linuxディストリビューションを選ぶ際は、企業が運用しているデバイスで動作するかどうかは重要な要素だ。この観点は、IoT(モノのインターネット)、データセンター、組み込みシステムで特別なハードウェアを使用する可能性がある場合、特に重要になる。
RHELのバージョン9は、以下のアーキテクチャで動作可能だ。
SLESのバージョン15は、以下のアーキテクチャで動作可能だ。
Red HatとSUSEはどちらも、サポートサービスを含むサブスクリプション形式でLinuディストリビューションを提供している。追加特典として、各ディストリビューションに関するトレーニングも利用可能だ。
Red HatによるRHELのサブスクリプションは、2種類の期間(1年または3年)があり、3種類のサポートプラン(プレミアム、スタンダード、セルフサポート)を選択できる。プレミアムとスタンダードは、Red Hatの技術サポートサービスを利用可能だ。セルフサポートでは技術サポートを利用できない。RHELユーザー用のポータルサイトや、RHELを実行しているシステムの分析ツール「Red Hat Insights」、インフラ管理ツール「Red Hat Satellite」などの追加サービスもある。
サポートプラン別の価格は、1年分の場合プレミアムが年間1428.9ドル、スタンダードが年間878.9ドル、セルフサポートが年間383.9ドルだ(2024年5月時点)。プレミアムには、Red Hatが定める問題の重大度が1または2の問題に対する24時間365日のサポートと、重大度が3または4の問題に対する営業時間内のサポートが付属する。スタンダードでは、重大度が3または4の問題に対する営業時間内のサポートが利用できる。
SUSEが提供するサブスクリプションには、1、3、5年の3つの期間がある。セキュリティアップデートや製品アップグレード、テクニカルサポートといったサービスが含まれ、使用するソケット数や仮想マシン(VM)数によって価格が異なる。
サポートレベルはスタンダードとプライオリティーの2種類だ。応対時間はスタンダードが平日1日のうち12時間、プライオリティーが24時間365日となっている。
次回は、トレーニングおよび認定資格の違いを取り上げる。
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