LinuxベンダーSUSEは、ソースコードへのアクセスを限定する競合Red Hatに対して、OSSの基本である「誰でも利用できること」を追求している。理想とビジネスをどうやって両立させるのか。
企業向けLinuxディストリビューション(配布用パッケージ)ベンダーSUSEは事業拡大に当たり、オープンソースソフトウェア(OSS)のオープンな精神とOSS開発コミュニティーとの関係づくりを重視している。なぜそれが欠かせないのか。SUSEのダークピーター・ファン・レーベンCEO(最高経営責任者)とトーマス・ディ・ジャコモCTO(最高技術責任者)に理由を尋ねた。
―― OSSの業界では「商業的な利益」と「オープンソースの原則」のバランスをどう取るかが常に議論されています。SUSEはどう考えますか。
ファン・レーベン氏 ユーザー企業はオープンソース開発によるイノベーション(革新)力を手に入れるためにOSSを利用する傾向にある。イノベーションこそ、OSSの成功の原動力だ。
OSSのユーザー企業にとって課題になるのは、OSSの開発コミュニティーが提供できないものをどうやって自社で補うのかだ。「どうすればSLA(サービス品質保証契約)を締結できるのか」「どうすればソフトウェアの定期的な自動アップデートが実現するのか」といったことが問題になる。
その意味でOSSベンダーが提供するサービスは、ユーザー企業にとって価値のあるものになる。ただし1社のOSSベンダーへの依存度が高まると、サービスの価格設定も含め、OSSベンダーの方針をそのまま受け入れざるを得ないというデメリットが生じる。だからこそ、ユーザー企業は代替手段を求めている。RHELに関して言えば、それを代替する良い選択肢は存在しなかった。当社は絶好の機会を得たと考えている。
ディ・ジャコモ氏 ベンダーロックインに陥ると、ソフトウェアに新たな価値を付加しにくくなる。このことを気にするユーザー企業がある。OSSの開発コミュニティーは、ソースコードを必要としている。
RHEL製品の90%以上は、Red Hatが開発したものではないということを理解する必要がある。つまり、Red HatがOSSの開発コミュニティーからの支持を失えば、売る製品がなくなってしまう。RHELへのアクセス限定は、ビジネスの観点からもあまり賢くないと捉えている。
第6回は、OSSのコモディティ化に関する意見をSUSEに聞く。
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