Red Hatの「RHEL」の代替製品を開発し、Linux市場で攻勢を掛けるSUSE。今後の課題になるのは、RHEL代替製品をどう普及させるかだ。同社のCEOとCTOの考えは。
企業向けLinuxディストリビューション(配布用パッケージ)ベンダーSUSEは、オープンソースソフトウェア(OSS)の市場で新たな商機をつかもうとしている。取り組みの一つは、競合Red Hatの企業向けLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)との互換ディストリビューションの開発だ。同社は互換ディストリビューションをどのように市場に浸透させるのか。SUSEのダークピーター・ファン・レーベンCEO(最高経営責任者)と、トーマス・ディ・ジャコモCTO(最高技術責任者)に聞いた。
―― RHELの代替製品をどのように市場に普及させるつもりですか。
ファン・レーベン氏 RHELの代替製品を開発する目的は、OSSのユーザー企業と、開発コミュニティーとの関係づくりのためだ。当社には「SUSE Liberty Linux」というサポートプログラムがある。このプログラムを利用すれば、RHELのユーザー企業は容易に当社製品に切り替えることができる。
SUSEは「OSSとは何か」を常に考えている。Red Hatが非公開にしたRHELのソースコードを、RHELの代替製品の提供によって再び公開することを決めたのはそのためだ。この決断は、OSSコミュニティーの発展に貢献すると考えている。RHELの代替製品を受け入れてくれるかどうかは、OSSコミュニティーの判断次第だ。
ディ・ジャコモ氏 当社の協力者の一人が、OSSベンダーCtrl IQ(CIQの名称で事業展開)のCEOを務めるグレゴリー・カーツァー氏だ。同氏はRHELと互換性のあるLinuxディストリビューション「Rocky Linux」と「CentOS」の創設者でもある。当社は特定の企業ではなく、OSSコミュニティーの方々の協力を得ることによってRHELの代替製品を普及させたい。
もちろん、当社は商用版のLinuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise Server」(SLES)をやめるわけではない。SUSE Linux Enterprise ServerとRHELの代替製品という2つの柱で事業拡大を図る。
ファン・レーベン氏 SUSEは、OSSのライフサイクルを運営するための人的リソースとノウハウを持つ希少なベンダーだと自負している。当社にとって、これはごく自然なことだ。SUSEはOSSの開発コミュニティーで非常によく認知されているので、コミュニティーの知見を利用できる。当社のビジネス規模を考えると、SUSEはOSS開発コミュニティーの最大のコントリビューター(貢献者)だと言っても過言ではない。
Red HatがRHELへのアクセスをRed Hatのユーザー企業に限定することを受けて、当社のユーザー企業はRHELの代替手段を求めていると実感している。当社がRHELのユーザー企業に何を提供するのかを分かりやすい例で言うと、電話番号はそのままで、携帯電話のキャリア(通信事業者)を変えることのできるサービスだ。ソフトウェアはそのままで、SUSEからサービスを受けられる。これが代替ディストリビューションの価値だ。
第5回は、ベンダーロックインの問題をSUSEがどう考えているのかを探る。
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