サイバー攻撃が拡大する中で、企業はバックアップ戦略の転換を迫られている。今後のバックアップ戦略で重要となる3つのキーワードとは何か。
企業のバックアップデータを標的にするランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃が広がっている。次世代バックアップ製品はランサムウェア検出機能やインスタントリカバリー(即座の復旧)機能を搭載し始めているものの、攻撃に対処するには十分ではない可能性があり、セキュリティ専門家はバックアップ戦略の転換を呼び掛けている。
バックアップツールベンダーが、今後のバックアップ戦略において重要になると考えるキーワードを3つ紹介する。
データ保護ツールベンダーVeeam Softwareでアジアパシフィックおよび日本地域の担当リーダーを務めるベニ・シア氏は、データにイミュータビリティ(不変性)を持たせる「イミュータブルバックアップ」が普及すると予測する。バックアップのリポジトリ(データの保管庫)を狙うランサムウェア攻撃に対して、企業は対策を打つ必要があるからだ。
イミュータブルバックアップは、データの改ざん防止に役立つ。イミュータブルバックアップで保存したデータは、変更や削除、上書きができない。データを読み取り専用フォーマットで保存し、書き込み権限を取得できないようにしているからだ。
バックアップツールベンダーCommvault Systemsで東南アジア諸国連合(ASEAN)、日本、韓国、中国本土担当ソリューションエンジニアリング責任者を務めるダニエル・タン氏は、データの発生源であるデバイスの近く(エッジ)でデータを処理する「エッジコンピューティング」に注目する。タン氏によれば、エッジコンピューティングは迅速なバックアップと復旧に貢献する。通信の「レイテンシ」(遅延)を削減しやすいことが理由だ。
調査会社IDCは企業の新しいITインフラのうち、50%以上が2023年までにデータセンターではなくエッジ(データの発生源であるデバイスの近く)に配備されると予測している。エッジはバックアップの次の注目点だと言える。
一方でシア氏は、エッジコンピューティングはクラウドバックアップ(クラウドサービスでバックアップを保管すること)に完全に取って代わるものではないと指摘する。将来的には、さまざまな要件や用途に応じて、エッジとクラウドサービスの両方を組み合わせるバックアップが一般的になるというのが同氏の予測だ。
データ保護をより強化するために、今後は機械学習などのAI(人工知能)技術や自動化を活用する新たなバックアップ機能が登場すると考えられる。
企業のバックアップシステム全体に、サイバー脅威と誤検知を区別する高度なアルゴリズムを適用したり、機密データの隔離と保護を自動化したりすることで、データ流出といったインシデントの抑止策を強化できる。
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