「PITR」(Point In Time Recovery)や「バージョン管理」は、クラウドバックアップの強化にどう役立つのか。専門家の意見を踏まえて解説する。
企業はデータの偶発的な削除やソフトウェアのバグなど予期しない事態に陥った際に、バックアップデータをいかに短時間で正確に復旧できるかを考える必要がある。クラウドバックアップ(クラウドサービスにバックアップを保管すること)による復旧に役立つ「PITR」(Point In Time Recovery)や「バージョン管理」について、それぞれ詳しく解説する。
PITRは、必要に応じて過去の特定時点の状態を復元する。データ損失を最小限に抑える他、ダウンタイム(システムの停止時間)の短縮や、よりきめ細かなデータ復旧が可能だ。
バックアップツールベンダーCommvault Systemsで東南アジア諸国連合(ASEAN)、日本、韓国、中国本土担当ソリューションエンジニアリング責任者を務めるダニエル・タン氏は、「一定間隔でスナップショット(ある時点の状態の記録)を取得し、フルバックアップ(対象の全データのコピー)を使って復旧する従来の手法よりもPITRは優れている」と評価する。
Oracleの製品管理担当シニアディレクターを務めるティモシー・チェン氏によると、一部のクラウドベンダーはスナップショットを用いて、バックアップウィンドウ(バックアップをするために業務やシステムを停止できる時間帯)を短縮する機能を開発している。
バージョン管理はクラウドバックアップによる復旧を、きめ細やかにすることを可能にする手法だ。データに変更が加えられるたびに既存のバージョンを上書きするのではなく、古いバージョンを保存しつつ新しいバージョンを保存する。
バージョン管理は企業のバックアップ手法を根本的に変えるものではないが、「データを特定の状態に戻せるため、予期しないエラーからデータを保護できる上、時間や人的リソースを節約できるメリットがある」とタン氏は話す。
一方で、企業にはバックアップのデータやストレージに何らかの問題が発生する場合を想定しておくことが求められる。この点を考慮すると、バックアップは異なるストレージや、物理的に異なる場所に保管する必要がある。
第6回は、今後のバックアップ戦略において重要となるキーワードを紹介する。
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