クラウドサービスが台頭したことで、データの扱い方に変化が生じた。これからのバックアップツールにはどのような機能が求められるのか。業界関係者に話を聞いた。
クラウドサービスが台頭したことで、企業がデータを保存する先は分散しがちになった。複数のクラウドサービスを併用する「マルチクラウド」や、オンプレミスインフラとクラウドサービスを組み合わせる「ハイブリッドクラウド」は、企業のシステム構成として一般的だ。今後はどのようなバックアップツールが求められるのか。
企業の注目を集める可能性があるのは、ストレージをサービスとして利用する「STaaS」(Storage as a Service)や、バックアップツールをサービスとして利用する「BaaS」(Backup as a Service)だ。バックアップツールベンダーはこれら市場が成長すると予測する。
コンプライアンス面を考慮し、企業はデータの保存場所をより重視するようになる可能性もある。その場合、データの保存先や転送先を特定地域内にとどめる「データローカライゼーション」に依拠したバックアップサービスがより重要になると考えられる。
一方、「クラウドネイティブアプリケーション」(クラウドサービスで運用することを想定したアプリケーション)が生成するデータは、発生場所の近くでバックアップを取る必要がある。バックアップツールベンダーは、クラウドサービス向けのバックアップサービスを拡充させると予測できる。
バックアップツールベンダーVeeam Softwareで英国とアイルランド担当バイスプレジデントを務めるダン・ミドルトン氏は、「IT部門は各ソフトウェアに対して異なるバックアップツールを使用することは望んでいない」と話す。導入や運用の作業が面倒で、時間がかかり、非効率になるからだ。企業は利用するベンダーをできる限り減らそうとしている。さまざまな対象をバックアップできるツールが、今後より重要になるとミドルトン氏は予測する。
ストレージベンダーのPure StorageでフィールドCTO(最高技術責任者)を務めるパトリック・スミス氏が注目することの一つはコンテナだ。アプリケーションの実行環境を仮想化するコンテナの利用は拡大しつつある。「コンテナをバックアップする機能は、企業向けバックアップツールの標準機能になる」とスミス氏はみる。
ミドルトン氏もスミス氏の意見に同意する。「データはアプリケーションやコンテナ間を頻繁に移動するようになった。その動きに追随するバックアップツールが必要だ」(ミルトン氏)
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