「STaaS」や「BaaS」だけじゃない クラウド時代のバックアップとは?バックアップツールの将来動向【第4回】

クラウドサービスが台頭したことで、データの扱い方に変化が生じた。これからのバックアップツールにはどのような機能が求められるのか。業界関係者に話を聞いた。

2023年02月06日 05時00分 公開
[Stephen PritchardTechTarget]

 クラウドサービスが台頭したことで、企業がデータを保存する先は分散しがちになった。複数のクラウドサービスを併用する「マルチクラウド」や、オンプレミスインフラとクラウドサービスを組み合わせる「ハイブリッドクラウド」は、企業のシステム構成として一般的だ。今後はどのようなバックアップツールが求められるのか。

「STaaS」や「BaaS」も クラウド時代のバックアップとは

 企業の注目を集める可能性があるのは、ストレージをサービスとして利用する「STaaS」(Storage as a Service)や、バックアップツールをサービスとして利用する「BaaS」(Backup as a Service)だ。バックアップツールベンダーはこれら市場が成長すると予測する。

 コンプライアンス面を考慮し、企業はデータの保存場所をより重視するようになる可能性もある。その場合、データの保存先や転送先を特定地域内にとどめる「データローカライゼーション」に依拠したバックアップサービスがより重要になると考えられる。

 一方、「クラウドネイティブアプリケーション」(クラウドサービスで運用することを想定したアプリケーション)が生成するデータは、発生場所の近くでバックアップを取る必要がある。バックアップツールベンダーは、クラウドサービス向けのバックアップサービスを拡充させると予測できる。

 バックアップツールベンダーVeeam Softwareで英国とアイルランド担当バイスプレジデントを務めるダン・ミドルトン氏は、「IT部門は各ソフトウェアに対して異なるバックアップツールを使用することは望んでいない」と話す。導入や運用の作業が面倒で、時間がかかり、非効率になるからだ。企業は利用するベンダーをできる限り減らそうとしている。さまざまな対象をバックアップできるツールが、今後より重要になるとミドルトン氏は予測する。

 ストレージベンダーのPure StorageでフィールドCTO(最高技術責任者)を務めるパトリック・スミス氏が注目することの一つはコンテナだ。アプリケーションの実行環境を仮想化するコンテナの利用は拡大しつつある。「コンテナをバックアップする機能は、企業向けバックアップツールの標準機能になる」とスミス氏はみる。

 ミドルトン氏もスミス氏の意見に同意する。「データはアプリケーションやコンテナ間を頻繁に移動するようになった。その動きに追随するバックアップツールが必要だ」(ミルトン氏)

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news132.jpg

ハロウィーンの口コミ数はエイプリルフールやバレンタインを超える マーケ視点で押さえておくべきことは?
ホットリンクは、SNSの投稿データから、ハロウィーンに関する口コミを調査した。

news103.jpg

なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...

news160.jpg

業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...