長野県千曲市の小中学校13校が「ファイルサーバ」刷新で約30%のデータを削減NEWS

長野県の千曲市教育委員会内の小中学校は、成績や教職員名簿などの校務データ、教育コンテンツなどを管理するファイルサーバを刷新。GIGAスクール構想でデータが増える中、データを削減しながら運用している。

2023年08月31日 05時00分 公開
[松本一郎TechTargetジャパン]

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 IT製品ディストリビューターのネットワールドは2023年8月21日、長野県の千曲市教育委員会が、ストレージアレイの「NetApp FAS2720A」(以下、FAS2720A)を導入したと発表した。FAS2720Aは千曲市内の小中学校13校が利用する統合ファイルサーバとして稼働している。

 千曲市教育委員会は千曲市役所にファイルサーバを設置し、各学校の教員名簿や、児童・生徒の成績などの校務データや教育コンテンツを管理してきた。サーバOS「Windows Server」搭載のサーバ2台とSAN(ストレージエリアネットワーク)ストレージ1台による冗長構成によって管理していたが、ある課題を抱えていた。

冗長構成によって千曲市教育委員会が抱えていた課題とは?

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 千曲市教育委員会は当初、市内の小中学校の校務データを、Windows Server搭載のサーバ2台とSANストレージによって冗長化したシステムに集約していた。しかし、冗長化構成にするためには、Windows Serverを搭載したサーバ2台とSANストレージの双方を管理する必要があることから、運用が負担になっていた。バックアップに数日かかることも課題だった。

 これらの課題を解消すべく、同教育委員会は2016年に新たなストレージの導入に着手。以下の理由からストレージアレイの「NetApp FAS2520A」(以下、FAS2520A)を採用した。

  • ファイル共有のためのプロトコル「Common Internet File System」(CIFS)に準拠しており、OSにWindowsを搭載した端末との間で安定してファイルを共有できること
  • 1つの筐体(きょうたい)内に2つのコントローラーを搭載するデュアルコントローラー構成が可能であり、片方のコントローラーの故障時にもう片方のコントローラーに切り替わる自動フェイルオーバー機能によって、冗長化しながら構成をシンプルにできること
  • 離れた場所にあるサーバにネットワークを介してデータをバックアップする機能の「Snapshot」や、前回のバックアップ時から変更があったデータのみを転送する機能「SnapMirror」によって、バックアップにかかる時間とファイルサーバの運用工数を削減できること

 千曲市教育委員会はメイン用のFAS2520Aを1台とバックアップ用のFAS2520Aを1台で統合ファイルサーバの仕組みを構成し、運用していた。システムの提案と構築はエプソン販売が担当した。その後、全国の学校にICT環境やデジタル教材を整備する「GIGAスクール構想」の影響で保存するデータが増加したため、千曲市教育委員会はFAS2520Aから上位モデルのFAS2720Aに変更した。

 教育コンテンツや校務データは複数の学校から集めているため、同一のデータもある。FAS2720AのOS「NetApp ONTAP」に備わったデータ重複排除とデータ圧縮の機能によって、集まったデータから約30%を削減しながら保存できている。

 FAS2720Aに変更する際にシステム構成は変更していないが、運用体制を見直した。現在ではSnapshot機能で朝夕のタイミングで1回ずつ各学校から必要なデータを取得し、90日分のデータを保持している。加えて、FAS2720Aの1台をメイン用、1台をバックアップ用として運用し、SnapMirrorによって両筐体間でデータを複製し、バックアップしている。

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