SSDの読み書きパフォーマンスを最適化して高速にする次世代のアーキテクチャがある。まだ広く使われているわけではないが、これからの普及が期待される仕組みだ。
次世代のストレージ技術として、従来の一般的なSSDとは異なる新しいアーキテクチャがある。それは特にデータ読み書きの高パフォーマンスが求められる用途で活躍すると考えられる仕組みだ。まだ広く使われているわけではないが、今後の普及には期待がかかる。
コントローラーではなくホストマシン(サーバ)のOSが制御タスクの一部を担うことで、パフォーマンスの最適化を可能にする仕組みとして「Open-Channel SSD」がある。一般的なSSDではコントローラーが内部の制御を自動で実行するため、ユーザーがパフォーマンスを細かく最適化することはできない。
このOpen-Channel SSDの仕組みを生かせば読み書きパフォーマンスを高めることが可能だが、そのメリットを享受するには、アプリケーションがOpen-Channel SSDを認識し、ホストマシンのSSD制御ソフトウェアと通信できなければならない。
ホストマシンにSSDを制御する役割を与えても、アプリケーションが連携せず、独立して実行されるのでは意味がない。それでは通常のSSDと変わらない。Open-Channel SSDのアーキテクチャをサポートしていない既製のアプリケーションを使用しても、データセンターはOpen-Channel SSDのメリットを得られないのだ。
商用アプリケーションは、一般に普及しているハードウェアで動かすことを前提に開発される傾向にある。Open-Channel SSDを使用するには、そのためのハードウェアが必要になるが、ユーザー企業にとってはハードウェアを導入した後に別のハードウェアに移行する判断は簡単にはできず、十分な理由が必要になる。そもそもOpen-Channel SSDで使えるアプリケーションがなければ、ハードウェアを移行する十分な理由は生まれようがない。
そうした事情もあり、Open-Channel SSDを使用しているのはほぼハイパースケーラー(大規模データセンターの事業者)に限られる。これは驚くことではない。ハイパースケーラーは自社のアプリケーションを完全にコントロールでき、Open-Channel SSDをサポートするように変更を加えることができるからだ。
ハイパースケーラーは、コスト削減に役立つ新しいタイプのハードウェアとしてOpen-Channel SSDを採用し、そのためにアプリケーションのソースコードを書き直すことにメリットがあると考えている。データセンターの10万台のサーバそれぞれで10ドル節約できれば、100万ドルのコスト削減になる。アプリケーションを書き直すために5億ドルかけたとしても十分なリターンが得られるわけだ。
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