SSDのパフォーマンスを上げるには? “次世代技術”は普及するのか「Open-Channel SSD」がある意味を考える【後編】

SSDの読み書きパフォーマンスを最適化して高速にする次世代のアーキテクチャがある。まだ広く使われているわけではないが、これからの普及が期待される仕組みだ。

2025年02月22日 08時15分 公開
[Jim HandyTechTarget]

関連キーワード

SSD | 半導体ストレージ | ストレージ


 次世代のストレージ技術として、従来の一般的なSSDとは異なる新しいアーキテクチャがある。それは特にデータ読み書きの高パフォーマンスが求められる用途で活躍すると考えられる仕組みだ。まだ広く使われているわけではないが、今後の普及には期待がかかる。

SSD高速化のアーキテクチャは普及するのか

会員登録(無料)が必要です

 コントローラーではなくホストマシン(サーバ)のOSが制御タスクの一部を担うことで、パフォーマンスの最適化を可能にする仕組みとして「Open-Channel SSD」がある。一般的なSSDではコントローラーが内部の制御を自動で実行するため、ユーザーがパフォーマンスを細かく最適化することはできない。

 このOpen-Channel SSDの仕組みを生かせば読み書きパフォーマンスを高めることが可能だが、そのメリットを享受するには、アプリケーションがOpen-Channel SSDを認識し、ホストマシンのSSD制御ソフトウェアと通信できなければならない。

 ホストマシンにSSDを制御する役割を与えても、アプリケーションが連携せず、独立して実行されるのでは意味がない。それでは通常のSSDと変わらない。Open-Channel SSDのアーキテクチャをサポートしていない既製のアプリケーションを使用しても、データセンターはOpen-Channel SSDのメリットを得られないのだ。

 商用アプリケーションは、一般に普及しているハードウェアで動かすことを前提に開発される傾向にある。Open-Channel SSDを使用するには、そのためのハードウェアが必要になるが、ユーザー企業にとってはハードウェアを導入した後に別のハードウェアに移行する判断は簡単にはできず、十分な理由が必要になる。そもそもOpen-Channel SSDで使えるアプリケーションがなければ、ハードウェアを移行する十分な理由は生まれようがない。

 そうした事情もあり、Open-Channel SSDを使用しているのはほぼハイパースケーラー(大規模データセンターの事業者)に限られる。これは驚くことではない。ハイパースケーラーは自社のアプリケーションを完全にコントロールでき、Open-Channel SSDをサポートするように変更を加えることができるからだ。

 ハイパースケーラーは、コスト削減に役立つ新しいタイプのハードウェアとしてOpen-Channel SSDを採用し、そのためにアプリケーションのソースコードを書き直すことにメリットがあると考えている。データセンターの10万台のサーバそれぞれで10ドル節約できれば、100万ドルのコスト削減になる。アプリケーションを書き直すために5億ドルかけたとしても十分なリターンが得られるわけだ。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社ネットワールド

どのタイプのストレージがニーズに合致するのか、NetApp製品ガイドで探る最適解

データ環境の急変は、企業のストレージ課題を複雑化させている。性能や拡張性、データ保護、分散環境の一元管理、コスト最適化など、自社の課題に合わせた製品・サービスをどう見つければよいのか。それに役立つ製品ガイドを紹介したい。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

AI活用で非構造化データも適切に処理、ハイブリッド環境に最適なストレージとは

構造化データ/非構造化データの両方を適切に処理する必要がある今、エンタープライズデータストレージには、より高度な要件が求められている。こうした中で注目される、単一障害点のないAI主導の分散型ストレージプラットフォームとは?

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

空冷だけではなぜ不十分? データセンターの熱負荷対策をどうする

CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「SATA接続HDD」が変わらず愛される理由とは

HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。