インフラを全てクラウドサービスに移行する企業は多くないが、それを実行している企業はある。クラウドサービスを優先的に採用するクラウドファーストを採用し、全てをクラウドサービスに移行するメリットとは。
クラウドサービスが普及する中で、クラウドサービスへの投資を優先する「クラウドファースト」を戦略として採用する企業は珍しくない。一部の企業はオンプレミスインフラから完全にクラウドサービスへの移行を決断している。これらの企業はどのような成果を得たのか。実際の事例を見ていこう。
大手消費財メーカーUnileverは、コンサルティング企業AccentureとMicrosoftおよび両社の合弁会社Avanadeと協力して、自社のITインフラを「Microsoft Azure」に移行した。この移行により、同社は全てのITインフラをクラウドサービスで運用することになった。
Unileverによると、Microsoft Azureへの移行によって以下のメリットが期待できるとしている。
同社によると、ITインフラを全てクラウド移行することで、ITインフラの制御性とセキュリティが向上した。OpenAIが開発したAIモデルをMicrosoft Azureで運用する「Azure OpenAI Service」をあらゆる業務に適用できるようにもなったという。
金融機関Capital Oneはクラウドサービスへの投資を優先するクラウドファースト戦略を採用して、同社の8つのデータセンターと約2000個のアプリケーションをAmazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群に移行した。この移行は容易ではなく、移行には8年間と1万1000人以上の関係者が参加した。
AWSによると、Capital Oneはクラウド移行によって以下のメリットを得た。
Capital Oneはクラウド移行に伴い、仮想サーバ「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)など30種類のAWSサービスを採用した。自社のあらゆるアプリケーションをAWSサービスで運用するためには、リファクタリング(挙動を変えずにプログラムの内部構造を変更すること)が重要だった。
Capital Oneではクラウドアーキテクチャに基づくプロビジョニング(配備)、運用、開発ができる人材を育成または雇用する必要もあった。同社は新しいクラウドアプローチについて開発者を教育するために資金を投じた。単にITインフラをクラウド移行するだけでなく、組織全体を見直すことで、自社の変革を実現した。
医薬品大手Johnson & Johnsonは、求人応募者への募集を改善するためにクラウドサービスを利用した。同社では、年間約2万5000人分の求職に100万人以上の応募がある。そうした中で、応募者が適切な求人に応募してくれないケースがあることが課題となっていた。
同社は人事(HR)サービスベンダーiCIMSの協力を得て、自社の人材獲得と採用のプロセスに「Google Cloud」の求人サイトとGoogleのAI機能を連携するサービス「Cloud Talent Solution」を利用した。
Johnson & JohnsonはGoogleの検索機能と機械学習を利用して求職者の職種やスキル、使用している業界用語を分析。求職者の好みと関連する求人情報をマッチングさせることに成功した。同社によれば、重要なポジションへの求人において、適性のある応募者は41%増加した。
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